関東と関西の鉄道、環境や歴史が生んだ「違い」 地下鉄、JR、大手私鉄…似ているようで意外な差

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一方、同年度の関西では阪急神戸本線の神崎川―十三間149%が最高である。続いて大阪メトロ御堂筋線の梅田―淀屋橋が148%、阪急宝塚本線の三国―十三間が146%、大阪メトロ中央線の森ノ宮―谷町四丁目間が140%となる。JRの新快速は関西混雑率トップ10には入らない。東海道快速線の茨木―新大阪間が98%、尼崎―大阪間が99%だ。

「上野東京ライン」や「湘南新宿ライン」は関西の「アーバンネットワーク」と比較することも可能だが、新快速を中心とした関西の鉄道ネットワークは余裕がないとできないもので、ここにも東西の違いがある。

今はコロナ禍で使用することがなかなか難しい「青春18きっぷ」(それでも販売されているが)を使って移動すると、関東では苦痛であるのに対し、関西ではそうでもないと思えるのは、東西での混雑率の大きな違いが背景にある。

私鉄のブランド力はどう違う?

では私鉄はどうか。関西の私鉄車両を見ると、塗装が美しいと感じる。とくに阪急電鉄だ。あの深みのあるマルーン。たまらないものがある。阪急沿線住民が阪急を愛する理由として、車両の質感の高さ、とくに塗色の質感の高さがあると考えられる。

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一方、関東で沿線からの「愛」が強い東急を見ると、車両のステンレス化にいち早く取り組み、色はラインカラーの帯で済ませている。そのほうが合理的なのだろう。古い車両の中には、今では質感がいいとはいえないものもある。

沿線を丸抱えでブランド化するビジネスモデルは、阪急の小林一三が開発し、それを東急の五島慶太が関東に持ち込んだ。阪急は鉄道の質感を高めることを中心としていく一方、東急はグループ全体のサービスを上質にしていくことを中心にしていった。

両者の違いはあれど、その中で阪急の「色」はブランド力の向上に大きく寄与した。関東でも同様の戦略を相模鉄道が始めた。「デザインブランドアッププロジェクト」だ。「ヨコハマネイビーブルー」と呼ばれる塗装を車両に施し、鉄道のアイデンティティを高めようとしている。関西のよいものを関東が取り入れようとしていると考えられる。

歴史や環境の違いが生んだ関東と関西の鉄道の特徴。両者にはさまざまな違いがあり、そしてそれぞれに魅力がある。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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