関東と関西の鉄道、環境や歴史が生んだ「違い」

地下鉄、JR、大手私鉄…似ているようで意外な差

しかし、御堂筋線は当初からもっと長い10両編成に対応できるようにした。大阪市の都市計画を考えた關一(せきはじめ)の先見の明がありすぎたということになる。

また、御堂筋線の大阪中心部の駅で降りると、天井の高さに気づく人も多いのではないだろうか。これも東京の地下鉄とは大きく違う。東京の地下鉄駅は天井が低い傾向があり、開放感のある大阪の地下鉄駅に魅力を感じる人もいるであろう。東京在住の筆者は大阪の地下鉄、いいよなあと思ってしまう。

地下鉄から地下鉄に乗り換える際も、東西の違いを感じる。東京の地下鉄は、銀座線と丸ノ内線を除いて架線があり、パンタグラフから集電している。地上を走る鉄道との相互乗り入れのためだ。

一方、大阪の地下鉄は8路線中5路線が第三軌条方式で、中央線の場合は乗り入れ先の近鉄けいはんな線が第三軌条方式に合わせた。他線との乗り入れがあり、架線集電なのは堺筋線だけである。「市営モンロー主義」(市内の交通は民営でなく市営で担うとする考え方)は過去ほどではないにせよ、いまでも大阪の地下鉄の伝統として民営化しても残っているのだ。

中距離電車はシートに大差

地下鉄だけではない。JRにも違いはあるのだ。

JR西日本の新快速223系(写真:sillky6/PIXTA)

関東のJRでは、通勤型電車と近郊型電車が統合されて、「一般型電車」として走行している。進行方向を向いて座れるシートがあるのは、普通車だと一部のボックスシートのみで、狭くて快適ではない。あとはロングシートだ。グリーン車はあるが別料金である。一方、新快速に代表される関西の中距離電車は転換クロスシートである。進行方向を向いてゆったりと座れる。ロングシートよりも多くの人が着席できる。

背景にあるのは、東西のラッシュ時混雑率の違いだ。コロナ禍にさしかかる2019年度、関東でもっとも混雑していたのは東京メトロ東西線の木場―門前仲町間で、混雑率は199%。続いてJR東日本横須賀線の武蔵小杉―西大井間が195%、JR総武線各駅停車の錦糸町―両国間が194%、JR東海道線の川崎―品川間が193%と、中距離電車でも上位にランクインしている。これではゆったりとした中距離電車の通勤は無理だとわかる。

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