米産業界、従業員側がついに賃金面で主導権握る 賃上げ効果を相殺するデルタ変異株とインフレ

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米国では数十年ぶりに賃金面で従業員側がついに主導権を握ったようだ。それを示す兆しが至る所で見られる。

例えばスーパーマーケット運営のクローガー、メキシカン・レストラン経営のチポトレ・メキシカン・グリル、スポーツ用品のアンダーアーマーは従業員引き留めに向け躍起になって時間給引き上げに動いている。さらにコーヒーチェーンのスターバックスが新規採用ボーナスを提示したり、ヘルスケア関連のCVSヘルスが求職者に対する学歴要件を緩和したりといった具合だ。

従業員の給与は1980年代初め以来の最も手厚い改善

米経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う昨年の落ち込みから振れの大きいまちまちな回復を見せる中で、こうした傾向がいつまで継続するかは不透明だ。ただ1つ確かなのは、従業員の給与待遇が1980年代初め以来最も手厚い改善となっているということだ。レジャー・接客業ではここ2年、賃金が年換算6.6%のペースで上昇。6日発表された7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数がほぼ1年ぶりの大幅増となり、雇用者側が人手確保で四苦八苦している状況が示された。

市場調査会社グローバルデータのマネジングディレクター、ニール・ソーンダース氏は「十分な人員を集められなければ、本当に追い詰められる。今はそうした状況だ。賃金は上がったし、今も上昇している」と語った。

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