韓国もKBO(韓国プロ野球)のトップ選手を招集した一方、他の4カ国は、まだ働けそうな元メジャーリーガーと、若手マイナーリーガーでチームを編成した。
中にはドミニカ共和国のホセ・バティスタ、メルキー・カブレラ、メキシコのエイドリアン・ゴンザレス、アメリカのトッド・フレージャー、スコット・カズミアー、イスラエルのイアン・キンズラーのようにMLBのオールスター戦に出場した元スーパースターもいたが、すでにMLB球団を退団しており「時価」での実力には疑問符が付いた。
またドミニカ共和国のファン・ロドリゲス、アメリカのシェーン・バズのようにMLBのトッププロスペクト(有望株)ランキングの上位に載るような若手選手もいたものの、有望マイナーリーガーの出場も少なかった。MLB傘下のマイナーリーグはコロナ禍のため昨年は全休になった。メジャーリーガーを目指す多くの若手にとって1年ぶりのマイナーリーグでの出世争いのほうが、オリンピックより重要だったのだ。
「日本の敵は日本」という状態
そんな中で、各国が目をつけたのは「日本でプレーする選手」だった。NPBはMLBに次ぐレベルのプロリーグだ。そしてNPBは選手の東京五輪出場を奨励している。NPBでバリバリ活躍する選手(日本から見れば外国人選手)は、即戦力として期待できる。
アメリカは、DeNAのタイラー・オースティンが中軸に座り、ソフトバンクのニック・マルティネスが先発、ヤクルトのスコット・マクガフ、この春までオリックスのブランドン・ディクソンが救援で参加。ドミニカ共和国は巨人のC.C.メルセデス、エンジェル・サンチェスが先発、元巨人のフアン・フランシスコが中軸、メキシコは元阪神のエフレン・ナバーロが中軸を打った。メキシコは独立リーグ・茨城アストロプラネッツでプレーするセサル・バルガスも招聘している。
各国は、最大のライバルである日本戦に、NPBでプレーする選手をぶつけてきた。日本はアメリカのニック・マルティネスやドミニカ共和国のC.C.マルティネスなどの先発投手を攻めあぐんだ。またアメリカのタイラー・オースティンは日本投手陣の最大の脅威になった。いわば「日本の敵は日本」だったのだ。
日本は5戦全勝で優勝したが、1点差のサヨナラ勝利が2試合、2点差が1試合、3点差が2試合。楽勝は1試合もなかった。6カ国がこのメンバーでペナントレースを戦えば、日本が圧勝するだろうが、短期決戦では瞬間最大風速で日本を上回りそうなチームもあったのだ。
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