縄張り越えた「観光列車レンタル」新潮流になるか 東急に続くか、オフシーズンに「他社貸し出し」
2021年4月23日、運行開始から5周年を迎えたえちごトキめき鉄道(トキ鉄)の豪華観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」は、記念特別列車の運行を行った。1人当たりの料金は2万5000円。通常よりも割高だったにもかかわらず、特別列車の席は予約受け付けから10分と経たずに埋まってしまった。
建築家の川西康之氏の手による美しい車両の中で、国内の鉄道では屈指の大きな窓から見える妙高高原の山あいの景色や田園風景を眺めながら、地元の食材に舌鼓を打つ。地方の第三セクター鉄道会社が運営する観光列車の中でも、雪月花は成功例の筆頭といってよい。
同じ場所を走っていては陰りがくる
だが、トキ鉄の鳥塚亮社長は、「いまは人気の列車だが、いつかは陰りが見える時期がくる」と、先行きについては楽観視していない。車窓から見える景色が同じでは、需要が一巡した後に、同じ客に2度、3度と繰り返し乗ってもらえる保証がないというのが、その理由だ。
「同じ観光列車がずっと同じ場所を走っていると、普通の鉄道会社の観光列車ならいつかは必ず落ち目になる」
多くの鉄道会社では、この問題を解決するため、車内で提供する食事の内容を定期的に入れ替えている。それによってリピーターを確保しようという作戦だ。だが、これだけでは抜本的な解決策にならないかもしれない。
そんな状況下で、鳥塚社長は新たなアイデアを心の中に温めている。
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