考えてみれば、新幹線ではグリーン車でも当然の如く飲料や酒類、食事は有料だ。東海道新幹線で使い捨てのおしぼりが提供されるぐらいである。つまり、航空会社の無料サービスは慣例に過ぎないのだ。海外の航空会社は早くから有料化しており、堂々と料金を取って販売する。乗客も当然のように対価を払って購入する。
記事には機内サービスの企画担当者のコメントがある。「コスト削減効果はもちろんあるが、顧客満足の向上が当初の目的だった」(同紙より)という。
再生段階にあるフラッグキャリアだけでなく、航空会社が苦境に立たされているのはもはや誰しも知るところである。「コスト削減やむなし」との認識が顧客側にも広がっているのは確かだが、その中で、削減するだけでなく、「満足を高める」ことを志向する活動に意味があるのだ。
ポイントは、従来無料だったものを有料にするにあたって、「誰に、(どこ・どのようなシーンで)どのような便益を提供するのか」をしっかりと考えたことではないだろうか。
同社は顧客のニーズを定量的に把握している。「ANAの調査によると、お金を払ってでも自分好みのサービスを選びたい人は6~7割いた」(同記事)という。それはどのような人だったのだろうか。
記事では「出張客や家族客に支持されている」とある。家族客は多くは旅行目的だろう。せっかくの「ハレの日」には、特別な体験をしたい。無料提供がなくなったのは仕方がないとするなら、同じものを有償で手に入れるより、いいものが欲しいと思うのではないか。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画

【大荒れ日本株相場の行方】米国発の相互関税ショック/「株価無視」に見えるトランプ氏の頭の中/今年の日経平均は1月が最高値に?【ニュース解説】

【為替の見通し】3月の日米金融政策を分析/投機的な「円買い」が過去最大/注目される4月2日の米国関税政策/トランプ政権の影響が大きいのは欧州【ニュース解説】

【支持率低下する立憲の悲哀】シングルイシューの是非/足並みそろわぬ野党/コメの価格高騰の原因/“参院選後”の大連立/ポピュリズムの台頭【青山和弘の政治の見方(小川淳也)】

【トランプ2.0に揺れるEU】3つの争点/価値観・秩序そのものへの攻撃/相互関税の泥沼化懸念/防衛「自前化」強いる米国/欧州再軍備計画の今/急転換のドイツには反発も/日米関係への教訓【ニュース解説】
ビジネス
アクセスランキング
アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
- シェア
※過去1ヶ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※週間いいねとシェアの合計(増分)
会員記事アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
トレンドウォッチAD
週刊東洋経済の最新号
- 新刊
- ランキング
無料会員登録はこちら
ログインはこちら