「多様性と調和」の五輪が今の日本を浮き彫りに 大坂選手の聖火リレー起用と敗戦への批判が象徴

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東京五輪の開会式では、米プロバスケットボールNBAの八村塁選手が日本選手団の男子旗手を務め、テニス4大大会で4勝した大坂なおみ選手が聖火リレーの最終走者として聖火台に点火した。2人とも異なる人種の両親の間に生まれた世界的アスリートだ。

「多様性と調和」の実現にはまだ道遠し

「多様性と調和」を基本コンセプトとして掲げる大会で、八村、大坂両選手は新しい日本の顔としてスポットライトを浴びたが、世界で最も人種的に均質的な国の一つである日本が変化を受け入れるには、まだ道のりが遠いことを思い起こさせる契機にもなった。

聖火台に点火した大坂なおみ選手(7月23日)Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

外国生まれの住民や両親の人種が異なる日本国籍保有者はこの数年間で徐々に増加しているが、五輪大会は日本人のアイデンティティーとその進化を振り返る機会となっている。人種が単一ではないアスリートが日本代表として活躍し、メダルを獲得する選手も出ている。

五輪男子テニスのダニエル太郎選手は7月31日のインタビューで、日本が「多様性の推進をうまく進めてきたと思う」と述べながらも、過去1年間にこの分野での日本政府の至らない点の一部が五輪を機に浮き彫りになったとも指摘した。

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