出産・育児で「お金と休み」はどれだけもらえるか 公的制度を使いこなす人はお得に子育てができる

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育児期間中のマネープランさえしっかり立てておけば、いくらでも挽回可能と考えて、長く仕事を続けられる環境を整えるほうが得策といえるでしょう。一時的に必要貯蓄率を下げるなどして家計をやりくりしつつ、例えば児童手当は全額貯蓄に回すなど、工夫をすることが大事です。その貯蓄をつみたてNISAで運用して大学入学資金に充てられるといいですね。また、住宅ローンなどを組む場合は、育休中の収入低下を考慮して計画を立てましょう。ペアローンを組むときは女性の負担を少なくするなどです。

出産にかかるお金も心配になるかもしれません。分娩費は年々高騰しているようですが、健康保険から「出産育児一時金(制度対象分娩の場合42万円)」が支給されます。また「出産手当金」も受け取ることができます。支給額は、休業開始時の賃金日額の3分の2相当額です。

子供の「看護休暇」は時間単位で取得できる

育児を行う労働者に関する制度等を簡単にまとめました。

(図:子供の養育期間の制度/筆者作成)

子供が病気になったり、予防接種に行ったりするために休みを取りたい場合、小学校に入学するまでは「子の看護休暇」を取得することができます。1年間に5日(子供が2人以上いる場合は10日間)で、週休2日の休日と合わせて丸1週間休めるイメージです。

1日または半日単位の取得だったのですが、今年から1日または時間単位で取得することができるようになりました。ただし、就業時間の途中から取得し、また職場に戻るというような中抜けはできません。「子の看護休暇」が利用可能かどうか、会社で確認してください。

出産を機に退職する女性も少なくありませんが、子供が小さく大変な時期も、制度を賢く利用して、退職しないで長く働きましょう。人生100年時代のお金の安心につながります。将来のこと、夫婦でぜひ話し合ってみてください。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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