客の懐の中で進化を追う、「超純水」はサービス業だ《戦うNo.1技術》


 出発は半導体不況だった90年代後半。景気やシリコンサイクルに振られやすいハード依存体質からの脱却を目指し立ち上げられた。不況期入りした97年度には経常利益160億円と、前年度の271億円から急落。その最も苦しい時期に、半導体メーカーから離れるのではなく、逆に最接近する決断を下したのだ。

2002年に初納入後、現在はシャープ堺工場をはじめ7カ所で稼働中。リーマンショック後、半導体メーカーが新規投資をストップしたため栗田も痛手を被ったが、それでも減益幅を小幅にとどめることができたのは、この供給事業が下支えとなったからだ。現在では全売上高の2割弱を占めるに至っている。

多様化する顧客ニーズ 疑似半導体工場も稼働

だが、供給事業がもたらしたのは不況抵抗力だけではない。顧客の工場の中に入り込んで保守・管理まで行うことが、装置や薬品の技術開発力向上に極めて有効だったのだ。原水は工場によって水質が大きく異なる。純度へのニーズも顧客によって違う。「工場内にいて初めてわかることを一つひとつクリアにしていくことが、結果的に技術力を高め、新製品開発につながっている」(紀古正彦・執行役員電子装置部門長)。

今後、半導体の高集積化が進むにつれ、半導体メーカーは競争力維持のためコア事業に設備投資や人員を集中させる。その一方で、超純水製造はアウトソーシングされる可能性が高く、その受け皿として、供給事業の市場規模は拡大していく見通しだ。現在、超純水製造装置では、東ソー系のオルガノや、韓国サムスン電子との取引が多い野村マイクロ・サイエンスなどがライバルだが、供給事業は栗田がほぼ独占している。事業拡大だけでなく、技術革新においても、栗田は絶好のポジションを手に入れたといえる。

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