日本の「子ども連れ去り」に海外が注目する理由 「共同親権」をめぐる日本と海外の大きな溝

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一方、日本では両親がそろって同意したとしても、離婚後の共同親権は認められていない。すなわち、両親の別離があった場合、子どもは2つの家庭に属するのではなく、完全な親権を持つ親と一緒に、もう一方の親から離れるべきだという考え方が基本となっている。

「日本では、別離後の面会はイベントであり、日常生活の一部ではなく、面会というイベントは子どもの日常生活を害さない限りで認められる。反対にフランスでは、面会は子どもの日常生活の一部だ」と家族問題を専門とする、ある日本人弁護士は説明する。日本では、残された方の親が判事から面会を認められても、その頻度や時間は申し訳程度のものとなるだけでなく、親権を持つ親によって拒否されれば実現はほとんど不可能だ。

離婚したら子どもの人生から「切り離される」

子どもの連れ去りが容認され、その後は、継続性の原則にしたがって、どちらかだけの親にすべてが与えられる。日本の制度が今後もこうした考えに基づくのであれば、伝統的に主に育児をする側との認識がある妻側だけが主に親権を持つという状況は変わらないだろう。

それどころか、日本人は離婚後に、基本的に親権を持たない親(多くは夫)が子どもの人生から自分が切り離されるという事実や、妻が再婚した場合、夫は完全に子どもの人生から消し去られるという事実を難なく受け入れてきている。

が、一方で若い父親たちはこうした法律を徐々に受け入れないようになってきている。「育児に関して、30代、40代の多くの父親はそれ以前の世代と考え方がまったく違う。育児に関わり続けたいと考えている」と、家族問題を専門とする大畑敦子弁護士は話す。「面会を要求する父親の数はますます増えている」と別の弁護士は付け加える。

実はフランスでも、もともと共同親権が認められていたわけではない。「私が30年前にこの仕事を始めた時には、制度的に母親が親権を持っていた。子どもの近くにいるためだけに妻と一緒にいる、と告白する父親はめずらしくなかった」と、ケダール=ボーフール弁護士は話す。

「2002年に共同親権が法律上の基本原則となった。それ以来、男女間の関係性はまったく違うものになった。もちろん、別れた後のふたりの関係はつねに複雑だ。しかし、双方がお互いに子どもと会い続ける権利を持つことに同意はしている」

今回、フィショ氏の妻と弁護士にも取材を申し込んだが、「繊細な段階」として取材を受けてもらうことはできなかった。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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