婚活アプリ2カ月で「授かり婚」38歳女性のホンネ もともとの理想のタイプではなかったが・・・

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これには彩さんのほうが興ざめしてしまった。なぜ数週間前に私から告白したときに受け入れてくれなかったのか、こんな優柔不断な男性で大丈夫なのか、と。答えは保留にして年越しを一緒に過ごすことは断った。イケメンな男友だちと遊んだほうが楽しそう、と思ったからだ。

「でも、その友だちは私とちゃんと付き合ったりする気はありません。こんなことをしていたら同じことの繰り返しだなと思いながらアプリを再開したら、すぐに彼にバレてしまいました。その週末に呼び出されたんです」

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一応は交際している状態だったので宏明さんが怒るのも無理はない。聞けば、宏明さんは好きな女性から「キープ」された挙句に振られたことがあり、傷ついて慎重になっていたのだ。慌てた彩さんは「おじさん」たちを招集して状況を報告する。彼らは真面目で不器用な宏明さんに最初から好感を抱いていて、すべては彩さんが悪いのだから言い訳せずに事実だけを話して謝り続けろ、と忠告してくれた。

「その通りにしたら、夫からめっちゃ怒られた後、『どうしたいの?』と聞いてもらったんです。そのときにやっと気づきました。別れたくないし、彼のことが好きなんだ、と。やっぱり私は追いかける恋が好きなんですね。正直、ラッキーな展開でした」

あまり反省していないな、この人……。しかし、彩さんは心を決めてからは浮気などはしていない。その暇すらないような展開だったとも言える。

「不妊治療をしてでも子どもが欲しいと思っていたので、付き合い始めてからは避妊はしませんでした。そしたら3カ月後には妊娠がわかり、急いで一緒に住む場所を見つけて結婚しました」

相手を何とか振り向かせる努力をする恋愛が好きだったと振り返る彩さん。でも、その頃に付き合っていた男性たちとの結婚生活は想像もできないと断言する。

「その人たちも私との結婚はあり得ないと言うはずです(笑)。今、夫との日常生活が幸せです。のろけに聞こえるかもしれませんが、台所で上から物を落としてしまったときも、夫から『大丈夫?』と声をかけてもらえたら笑いに変えることができます。マイナスをプラスにできるんです。一人暮らしだったら嫌な出来事を無言で処理するだけでしょう」

身重の体で育児をしている彩さんを常に気遣ってくれる宏明さん。家事にも積極的に参加している。恋愛には不器用でも、真面目でマメな人なのだ。

ただし、そんな宏明さんもアプリのプロフィールで小さな嘘をついていたことを彩さんは知っている。身長165センチと書いてあったが、155センチの彩さんがハイヒールの靴を履くと同じ背丈になるのだ。おそらく160センチ程度だと彩さんは推測しているがそれは口に出さない。その程度ならば「かわいい嘘」として見過ごすだけの余裕と経験が彩さんにはあるのだろう。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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