東大教授が教える「世界が求める頭の良さ」の定義 ネオヒューマンが示す「汎用的」な問題解決力
ALSという大病を抱え、失望してしまう人が多いなかで、同じ病気を持つ人々に対して、少しでも明るい希望を持てるよう、自分自身の体を「研究対象」と捉えて、実証実験を行っていく。そして、AIの発展に寄与して社会貢献していこうとする。この研究者魂は、ある種、研究者のあるべき姿とも言えるでしょう。稀有な人です。
さらに、「こうなったらいいよね」という夢物語で終わらせていないのも彼のすごいところです。
研究をまっとうするには、何よりもお金が必要です。お金集めは、一般的には研究者の苦手分野ですが、ピーターさんは違います。
世界の超優秀な研究者を仲間にして、それを動かすために財団を作り、大企業の協力を得るということまでしっかりと考えている。お金の集め方を自分で考えているんですね。
良い意味での「悪知恵」とも言えますが、なかなか働くものではありません。発想がすごい。そういったことを思いつくということ自体が、「生きていく上での頭の良さ」とも言え、それが彼の力でもあるでしょう。
専門バカを脱却し、推論エンジンを持て
ALSではないかとわかってきたとき、ピーターさんは、徹底的に論文を読んでALSについて調べています。
ロボット工学が専門の彼にとって、医学論文は専門分野ではありませんが、それを読み切る能力の高さと努力が彼にはあります。
違う分野に入っても、そのナレッジを吸収し、問題を解決する能力。ここが、彼の成功につながっているとも思います。
AIの説明としてよく言われることですが、まず、問題解決のための推論エンジンがあり、そのエンジンに沿って、必要なデータベースをその都度作り替えて入れてゆけば、いろんな分野に応用できる人工知能になります。
まさにピーターさんは、この「推論エンジン」を身につけています。だからALSの世界に入っても、ALS対策をすぐに考えることができた。
大学の博士課程における重要な素養も、実はここなんです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら