企業・団体献金の全面禁止は譲れない(下)
実際に、米国オバマ大統領は史上初めて、核廃絶を声高らかに唱えることができた大統領となったが、それは選挙運動において退役軍人に人とカネを依存しなかったために、軍の意向をある程度は気にしなくて済んだからであった。
個人献金増加のための策は?
また、企業・団体献金の全面禁止を行うにあたり、すでに実施したフランス、カナダ、韓国などの国は、同時に個人献金を促進するための税制措置などを行っている。フランスは66%、ドイツは50%の税額控除を行っていると聞く。韓国に至っては政治寄付は、100%の税額控除(該当金額分だけ納税額が減じられる)となっているのである。
日本では税額控除といいながら、所得控除に近い仕組みとなっているという疑問がある。菅直人副総理・財務大臣(当時)はちょうど1年前、年間10万円を上限とし個人献金全額を税額控除の対象とするという、個人献金拡大のための構想を発表している。こうした方法に大賛成だ。わが国も税制上の障壁は早急に取り除くべきと考える。
また、ここでもインターネットが有用だ。米国では、個人献金を集める重要なツールとしてインターネットが使われている。2000年のマケインは640万ドル、04年ディーンは5100万ドル、08年オバマは6億2200万ドルと、ネットのみでもここまでの寄付を集めているのだ。
一方、日本でも、楽天が行っているインターネット政治献金システムが有名だが、選挙戦が盛り上がった09年総選挙においてでさえ、全議員合計で380件程度、一口平均数千円程度の寄付しかなかったと聞く。
なぜ日本では、インターネット献金は広がらないのだろうか。