企業・団体献金の全面禁止は譲れない(下)
6月4日に総辞職した鳩山由紀夫内閣。新聞などメディアの世論調査で、鳩山内閣不支持の理由としてもっとも大きな割合を占めていたのが、「政治とカネを巡る問題への取り組み」であった。やはり、政治とカネの問題解決なくして、有権者の政治不信を消し去ることはできない。
上編では、企業・団体献金に関する歴史・海外の事例・国内からの声を述べた。下編では、企業・団体献金の現状やそれを補うものとしての個人献金増進の施策などについて述べてみたい。
企業・団体献金と個人献金の現状
企業・団体献金を禁止しても、政治におカネがかかる状況は変わらない。企業献金を禁止する代わりに、何らかの代替案が必要となる。その点に関して、2つ提案したい。入る量を維持すること、そして、出る量を減らすことだ。
出る面については、過去に連載をさせていただいたインターネット選挙運動の解禁をはじめとするITの政治への活用による支出削減をまずは推し進めたい。
入る量については、企業献金をなくす代わりに、個人献金を増加させる試みが求められるのではないかと考えている。2009年度で見ると、企業・団体献金の額は約122億円、個人献金の額は約303億円となっている。企業・団体献金は次第に減ってきており、この流れのまま、個人献金の額をもっと増やすことへのシフトができればと思う。
圧力団体による寄付に頼ってしまうと、どうしてもその圧力団体の顔色をうかがいながらの政策立案となってしまうが、薄く広く集める個人献金ならば、政策決定におけるある程度のフリーハンドを手にすることができるメリットもある。