日本銀行は16日の金融政策決定会合で、金融機関の気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度(気候変動対応オペ)の骨子案を決めた。注目された当座預金への付利による優遇措置は、貸出促進付利制度の中で最も低い0%が適用され、市場からは慎重な姿勢との指摘が出ている。
貸付期間は1年だが回数制限なく借り換えできる
当座預金のうち、0%付利のマクロ加算をオペ利用残高の2倍とし、マイナス金利の部分を圧縮する。実質的な補助となるプラス付利は見送った。
貸付期間は原則1年だが、回数制限を設けず借り換えが可能で、「実質的に、長期にわたるバックファイナンスを受けることが可能」としている。年内をめどに開始し、2030年度まで実施する。貸付利率は0%で、円で貸し付ける。
対象となる投融資
- グリーンローン/ボンド
- サステナビリティリンクローン/ボンド
- トランジションファイナンス
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、気候変動対応オペの骨子案について、利用を促すインセンティブは小さいとし、「スロースタートの印象が強い」と述べている。
野村証券の美和卓チーフエコノミストはリポートで、対象投融資の幅広い容認やプラス付利の一部適用が注目されていたが、「限定的かつ慎重な内容にとどまった」と指摘。オペの仕組みはミクロ的な資源配分に対し中立的であるべき金融政策の原則をやや逸脱しているとした上で、「この点、日銀はなお原則論に依拠した慎重な考え方に基づく制度設計を優先した可能性があろう」との見方を示した。