昨対200%「ハイラックストラック」が爆売れの訳 若者人気が急上昇!大ヒット「3つの背景」
若者への人気についてさらに聞くと、「彼らにとってハイラックスは“まったく知らないクルマ”という印象だろう。街中で見かけるうちに『あれは何だ?』になり、それが購入動機につながっているのではないか」と分析する。
また近年、ハイラックスはTOYOTA GAZOO Racingとしてダカールラリーに出場し、その知見をフィードバックした量産車用オプションアイテム「GRパーツ」をラインナップしている。こうしたトヨタの展開も、若い世代はハイラックスをカスタマイズして乗る動機付けになっているようだ。
背景その3: IMVとアメリカンSUV市場の融合
ハイラックスを取り巻く市場を俯瞰してみると、グローバルではピックアップトラックには大きく2つの市場性があることがわかる。
1つは、東南アジアや南米など、いわゆる経済新興国向けの商品だ。
トヨタは2000年代前半から、経済新興国市場向けにIMV(イノベーティブ・インターナショナル・マルチパーパス・ヴィークル)戦略を着手しており、その中核モデルとして発売されたのが、2004年登場の7代目ハイラックスだった。
つまり、日本市場で2004年に販売中止となった背景には、トヨタが新興国市場でのIMV戦略を優先したことが影響しているといえる。
IMV戦略の一環としてハイラックスとメカニズムを共有するSUVの「フォーチュナー」やミニバンの「イノーバ」が、東南アジア各国で高級車として認知される様子を筆者は見てきた。この流れが、現行の8代目ハイラックスにも継承されている。
一方、アメリカでは1990年代からピックアップトラックとSUVが“鶏と卵”のような関係で、それぞれの市場を拡大。あわせて“ライトトラック市場”と称し、直近ではアメリカ全需の7割近くを占めるようになった。
トヨタ車では、アメリカ国内生産のミッドサイズピックアップトラック「タコマ」とフルサイズピックアップトラック「タンドラ」があり、一部業者が日本に並行輸入している。
つまり、日本のSUV市場は、アメリカで先行発売された「RAV4」が日本生産で人気となるというアメリカンSUVの流れを汲む一方で、ピックアップトラックについてはタイ生産ハイラックスを輸入するという、グローバルでの2つのトレンドが融合している状況なのだ。
結果的に、こうした各種グローバルモデルをラインナップした日本市場でのトヨタの新車ラインナップが、日本のユーザーにとってハイラックス購買に向けたよき刺激になっているのだろう。
日本ブランドのピックアップトラックでは唯一無二の存在となっているハイラックス。これに追従するモデルは登場するのだろうか。ハイラックスが急激に伸びている日本のピックアップトラック市場から、目が離せない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら