企業・団体献金の全面禁止は譲れない(上)
そして、最も大きなターニングポイントが、「政治改革」を最重要命題に掲げて発足した1994年の細川護煕内閣における政治改革四法である。ここでは、政治資金規正法と政党助成法をセットで成立させ、政党助成金を支払う代わりに、企業・団体献金を5年以内に見直すとまで宣言されていたのだ。
現在、この政党助成金は国民1人当たりにすると250円、総額で319億円もの額が毎年使われていることとなっている。見直すといいながら、まったく何の検討もなく、なし崩し的に続いている現状でよいはずはない。
海外の事例、禁止している国、禁止していない国
次に、海外の事例を見てみよう。アメリカでは企業による寄付は1907年から、労働組合による寄付も1940年代から、基本的には禁止されている。しかし、企業や労働組合が候補者を支援するために作る政治活動委員会(PAC)による寄付は、1選挙ごとに5000ドル以内という量的制限を伴うものの、認められている。
出典:国立国会図書館政治議会課データより藤末健三事務所作成
イギリスでは、企業が一定額を超える寄付をする場合は、事前に株主総会の承認決議を受け、寄付先と金額を取締役報告に記載する必要がある。労働組合は、政治基金を通して寄付を行い、政治基金の設置について組合員の承認が必要である。ただし、いずれも量的制限は設けられていない。
ドイツでは、連邦・州等の直接の資本参加率が25%を超える企業による寄付は禁止されている。また、公益団体等による寄付や、政党への転送を条件とする職業団体からの寄付も禁止されている。