東大生が警鐘「夢を諦めた事すら気づかない」子供

偏差値35から逆転した「ネオヒューマン」的思考

そのためには、もっと自由に、エスタブリッシュメントに「戦争」を挑まなければならない――それがピーターさんのメッセージです。打倒したいものは、人によって、親であり、会社であり、社会であり、自分自身でもあるでしょう。

だから勉強しよう

近年は、キャリア教育として、中学生など早い段階から「将来のことを考えましょう」と指導する教育方針があります。これが間違いだとも思いませんが、このようなキャリア教育が行きすぎると、大きな弊害があるようにも思います。

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例えば、ある中学生が「美容師になりたい」と言ったとしましょう。その子には、美容業界というところは生涯年収でどのぐらい稼げて、どのぐらい似たような思いの人がいて、どのぐらい大変な仕事なのかということを、客観的に考えるだけの視野と教養があるでしょうか。美容師以外の選択肢が、その時点でどれほど見えているでしょうか。

僕自身は、行動することそのものがプラスだと思いますし、中学生のうちから、将来について考えること自体は間違っていないと思います。ただ、どんな道を選択するにせよ、「だから勉強はしなくていい」となることを危惧しています。勉強はするべきだと思いますね。

現に、ピーターさんは学がすごい。頭のいい人です。社会構造がなぜこうなのか。どうしてこういう世の中になっているのか。どんな技術があるのか。そういうことを考えられる頭のよさを養わなければ、エスタブリッシュメントに反抗もできませんし、勝てません。

だから、勉強しよう。その一点に尽きます。

ピーターさんの示した道に続く人たちもきっといるでしょうし、彼の走っていく姿そのものに価値があると思います。全力で走って何かをやって、前に進んでいる人がいれば、必ず誰かがその背中を見ています。そして、続く人間が出てきます。現に、ALSで諦めていた人たちも、ピーターさんの話を聞けば、走ることができます。

そして、ピーターさんのような境遇ではなくても、問題を抱えていない人間はいません。誰もが何らかの抑圧を受けて、無意識のうちに自分で決めた「自分の限界」にとらわれているわけです。『ネオ・ヒューマン』は、ピーターさんの特殊な物語でありながら、決して僕たちに関係ない物語ではありません。

(構成:泉美木蘭)

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