日立製英国車両「亀裂発生」、その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価、肝心の原因は?
イギリスではアプリを使ったオンライン経由の事前購入が安いため、駅に来てからきっぷを買う人は相対的に減ってきている。今回のケースでは、関連各線の運行情報を顧客向けにメールや携帯メッセージなどで直接流せたことが、駅頭での混乱を最小限に抑えられた大きな要因となった。ダイヤが混乱している中、各社は「利用客が直面するトラブルの回避」を念頭に、明確で一貫した情報を提供できていたわけだ。
今回発表したレビューについて、 ORRのステファニー・トービン消費者担当副取締役は、利用客への情報提供については適切だったとしながらも、「今後このような障害が発生した際、利用客への影響をさらに軽減するための対策を講じたい」と述べ、鉄道業界と手を取りながらさらなる改善を検討するとしている。
亀裂自体の原因は引き続き「調査中」
列車の運行は、亀裂トラブルの発覚5日後の5月13日までにほぼ復旧した。ところで、肝心の亀裂に関する原因究明に向けた調査の進展はどうなっているのだろうか。
6月25日の段階では、ORRはこれまで述べたように旅客サービスに関するポイントを発表するにとどまり、車両そのものの動静については一切触れていない。
ORRは今後の方針について6月7日に発表した文書で説明しており、車両導入の経緯、トラブル発覚後の運用停止、そして営業運転再開時の状況といった3つの項目について9月を目標に報告書をまとめるとしている。その後、長期的な「是正に向けたプログラム」が確立され次第、最終報告書を発表する流れとなっている。
日立や運行各社は「リフティングポイントの亀裂は、編成や各車両の構造には影響を与えない」と説明しているものの、原因が完全に究明されていない状態で時速200kmでの営業運転を行っているのは、利用者側から見れば心許ないのも事実だ。1日も早い具体的な状況の発表が待たれる。
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