「監視資本主義者」は人類の未来から何を得るのか 「人という天然資源」へと追いやられる私たち
監視資本主義の下での行動の商品化がわたしたちを向かわせる未来の社会では、市場の力は、秘密主義とわかりにくさと専門知識という濠に守られている。
たとえば「パーソナライゼーション(個人向けのカスタマイズ)」のように、わたしたちの行動から抽出された情報が、貢献へのご褒美としてわたしたちに還元されることもある。だがその裏では、並行して秘密の操作が行われ、余剰は商品として売られ、わたしたちが得るご褒美をはるかにしのぐ利益をあげている。
しかし、わたしたちはこの市場活動のメンバーではなく、それをコントロールする力を持たない。この未来社会において、行動は他者によって、他者の目的のために強奪され、わたしたちは、それにアクセスすることも、それをコントロールすることもできない。情報と権利と力は、監視資本家に掌握されているのだ。
彼らにとってわたしたちは、単なる「人という天然資源」にすぎない。わたしたちは、己の経験という地図から自己決定権という当たり前の権利を消された先住民なのだ。
彼らはどうやってそれをやり遂げたか
デジタル強奪は1回限りの出来事ではない。活動と素材と技術の継続的な協働であり、波ではなく、潮流そのものだ。グーグルのリーダーたちは当初から、成功するには、自分たちが「繰り返す罪」を競争と制限から守る強靭な砦が必要であることを知っていた。
コーポレートガバナンスという民間の監督システムや、法という民主主義の枠組みに縛られたら、身動きできなくなる。自由を主張し活用するには、民主主義を遠ざけておく必要があった。
「彼らはどうやってそれをやり遂げたか」という問いは、本書で何度も立ち返る重要な問いだ。
その答えを得るには、第1に、監視資本主義によるサービスの需要を生み、それを維持した状況を理解しなければならない。第2に、監視資本主義の基本的なメカニズムと運動の法則を把握する必要がある。そして第3の要件は、監視資本主義の主張を促進し、それを保護している政治的・文化的環境と戦略を理解することだ。
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