「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差 管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケ
では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。
「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。
なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。
再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう
実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。
室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。
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