ネトウヨは、卒業することを知らない 湯浅誠×やまもといちろう リベラル対談(前編)

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やまもと:一部はつくられたと思いますよ。全部が全部だめだったわけではなくて、「2ちゃんねる」だからこそ、できたこともたくさんあった。ただ、デマの発生源にはなりやすいし、知らない人が集まっている中で、悪意のあるもっともらしいガセネタが流れるとどうしても信じてしまう人たちが出てしまう。

湯浅:悪意がむき出しになって出てくることも多くあると言われていますが。

やまもと:意外と人間って善でも悪でもない中立なところがあって、悪に偏りすぎたときは必ずそれを是正する動きがあると思いますよ。その場その場では脊髄反射しても、一定の年月が経つとある程度はあるべきところに収まっているというような、ある種の自然治癒力みたいなものがあります。

日本人であることしか誇れない人たちは多い

やまもといちろう●ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。 著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

湯浅:右寄りの意見が増えてきているんじゃないんですか。

やまもと:いや、まったくそんなことないですよ。よく右傾化とか言われるけど、過激なことを言うと目立つというだけで、一定のノイジーマイノリティが目立ってしまうのはネットでの言論の特徴だと思います。

湯浅:というと?

やまもと:特に「2ちゃんねる」の住人だけでなくネットに入り浸っている人たちの一部は、かなり特徴的に過激なことを言い、またそれを信奉して、信者同士が互いに思想強化しあっているところがありまして。

例えば「あなたは何が誇れますか?」と聞かれたとき、職歴が誇れない、学歴が誇れない、家系が誇れない。日本人であることしか誇れない人たちが結構いっぱいいます。本当は、高いところに自分の理想があっても現実の自分はそこにまったく手が届かない。だから、彼らなりの合理的な選択として右翼的な発言をするコミュニティや、ある種の反原発運動のような極端な思想と活動をしているネットのねぐらに居場所を見つけようとします。とりわけ、右翼的な発言をする彼らのアイデンティティは、実は日本人であること以外ない。そうなると民族主義的な発言をしやすくなるということです。

でもそれは今に始まったことではなくて、明治維新のときに攘夷運動をしていた連中だって同じですよ。何の学もなく地方から出てきて刀振り回してたような連中が、何を拠りどころにしたかと言えば、日本人の魂とか伝統。まだ日本という概念もはっきりしていなかったのに、そういったものに対して、えも知れぬロイヤルティーを持っていただけ。でもそれは人間の心の働きとして、自然なことだと思いますね。

湯浅:明治維新のときに攘夷運動をしていた連中(笑)

やまもと:実は右傾化的な発言をしているコミュニティーはものすごく小さい。その小さいのが、タコツボのようにグズグズ、グズグズやっている部分はあるんですが、マイノリティである割に声が大きいので、ヘイトスピーチやるぞ、となるとそれなりの人数が集まってしまうことになる。

湯浅:実数のロットは、何万人ぐらい?

やまもと:140万人ぐらいです。

湯浅:140万人も?! 私が思っていたよりは多いです。

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