人数制限し感染対策「鉄道イベント」開催の難しさ 緊急事態やまん防地域外で開催、中止の例も

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前記の通り、京成はイベント実施にあたってかなり丁寧な感染対策を講じているといえる。京成によると「新型コロナウイルス流行後に実施したイベント列車などで、感染者が発生した事例はありません」としている。

西武にせよ京成にせよ、鉄道事業者はコロナ禍の中でも利用者やファンへのサービスなどといった点で、できるだけイベントを実施したいという考えがある。そして、相応の対策を取って実施にこぎつけていることがわかる。

一方、イベントを中止せざるをえない事情もある。

京阪電気鉄道は、「5扉車」として知られる5000系のさよならイベントを5月16日と同月29日に予定していた。イベントは、「5000系ありがとう寝屋川車庫洗車体験会」と題し、中之島駅からの臨時列車乗車、寝屋川車庫での洗車機通過体験、三条駅入替線の乗車体験といった内容だった。

緊急事態宣言で中止に

参加定員は各日140人で事前申し込み制だったが、このイベントは5月10日に中止が発表された。京阪によると、中止は「コロナ拡大の状況を鑑みて」ということだ。当初は5月11日までだった緊急事態宣言が延長され、大阪府・京都府は宣言下ではイベントの無観客開催(大阪)や開催自粛(京都)を要請していたため、実施が困難になったといえる。一時期の関西圏での感染拡大状況を考えると納得できる対応だ。

京阪電鉄の5ドア車両5000系。5月中に予定していたイベントは中止になったが、車両の運行終了時期も延期された(写真:あいらんど/PIXTA)

そもそも、当初は6月の予定だった5000系の運行終了自体も列車運用の見直しにともない、9月ころに延期になった。今後イベントを実施するかどうかは、「コロナ感染症の拡大の状況を見ながら可否を検討中」としている。

イベントは鉄道ファンが期待しているというだけでなく、鉄道会社にとっても多くの人に自社の事業を知ってもらいたい、また沿線利用者のファンを増やすきっかけにしたいという思いがある。オンラインイベントを開催するケースもあるものの、やはりファンは生の鉄道にふれたい。

コロナ禍はすでに1年を超え、大規模イベントなどは制限が続く。2020年は中止に追い込まれたケースも多かった。そんな中、鉄道各社は感染対策に苦慮しつつ、恒例のイベントの復活や、新たな形での実施を模索している。

いつになれば再び自由にイベントを楽しめるようになるのだろうか。コロナ禍が早く収束することを祈るほかない。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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