今年後半の日経平均は「3万円」が中心となる理由 アメリカや中国の景気を先読みする指標とは?

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こうした輸出の強さがなぜ重要かと言えば、「日経平均採用銘柄の約6割は製造業だから」、このひとことに尽きる。国内消費は、いまだにコロナで苦戦しているとはいえ、海外で稼ぐことのできる企業にとってそれは致命傷にならないということだろう。「日経平均はコロナに強い」と言ってもよいかもしれない。

次にアメリカはどうか。目下、実体経済は急回復しているものの、株価が一本調子で上がるかと言えば、そうではない。株価予想にあたっては「実体経済」と「政策支援」のバランスを重視する必要がある。この点、最近は景気回復を示す指標が豊富にある一方、FRB(連邦準備制度理事会)は利上げを示唆するまでにタカ派になっており、両者の合計値が横ばいになっている。先行きもこの構図は続くと予想され、場合によっては「政策支援」が急速に弱まることで、合計値が低下することも考えられる。

不気味な中国の「クレジットインパルス」とは?

現時点で筆者が予想するFRBの金融政策は、(1)2022年1月に資産購入の減額(テーパリング)を開始、(2)2022年末までに資産購入(量的緩和)を終了。その後、半年程度の時間的猶予を設定、(3)2023年後半に初回利上げに踏み切り、2023年末までに2回程度(追加で1回)の利上げを実施するというもの。これはFRBの情報発信におおむね沿ったもので、平均的な予想と思われる。

もっとも、最近のアメリカ経済指標から判断すると、上記(1)(2)(3)のプロセスはいずれも前倒しされる可能性があり、市場参加者はすでにその可能性を織り込んだ状態にある。金利先物などから逆算すると市場参加者は2022年後半の利上げ開始を予想していることになる。今後も現在のような急速なペースでアメリカ経済が回復すれば、金融市場参加者が利上げ開始時期の予想を前倒しする可能性があり、それは株式市場にマイナスに働くと考えられる。

最後に中国を見ると「クレジットインパルス」と呼ばれる指標が急激な下向きのカーブを描いており不気味だ。この指標は与信(貸出)の拡大ペースと経済成長率を比較したもので、中国当局の政策態度を映じる尺度として知られている。政策当局が景気刺激的なスタンスをとれば、与信が経済成長率対比で拡大し、投資・消費が促される。反対に当局が、景気刺激策が所期の効果を発揮したと判断し、過熱を回避したいと考えれば、与信は抑制気味にコントロールされ、インフラ、不動産投資の減少など複数の経路を通じて経済活動は減速気味になる。

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