1枚15万円、あまりに美しい「葉っぱアート」の世界 コンプレックスを「得意」に変えた作者の人生

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贈られることだけが幸せじゃない。あなたに受け取ってもらえることが嬉しいんだよ。「小さなおくりもの」(『葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界』(講談社)より)

アートの中でもとりわけ細かさが要求される切り絵は、細かい作業に集中し始めると何時間でも没頭し続けられる自分に向いている、という直感がありました。

ところが、「なかなか悪くない作品ができた」と思って投稿してみて気づいたのですが、切り絵世界は、レベルの高い作品が数限りなく溢れているレッドオーシャンでした。一生懸命時間をかけて制作しても、同じような作品が溢れているSNSではあっという間に埋もれて、まったく注目してもらえないのです。

「これだ!」葉っぱアートに出合った瞬間

貯金残高は2万円。いよいよ諦めて仕事を探すしかないのか……と追い詰められたとき、たまたまネット上で目にしたのが、スペインのアーティストによる“leaf art”です。それは、紙ではなく葉っぱの上に、森で動物たちが暮らす繊細な切り絵が施されている作品でした。

「これだ!」と閃いた僕は、翌日には近所の公園で葉っぱを探し、なんとか完成させた葉っぱ切り絵作品第1号を投稿しました。

2020年1月に完成させた最初の葉っぱ切り絵作品。森の中で植物を育てる心優しいロボットを描いている(写真提供:リト@葉っぱ切り絵)

葉っぱ切り絵の最初の投稿から1年半。今までに製作した作品は400を超えていると思います。制作を始めて1年の今年の1月には、福岡の百貨店から声をかけていただき、初の個展を開くことができました。

5月には、念願の作品集も出すことができ、ありがたいことに、多くの企業からのお仕事もいただけるようになりました。ようやく自分の「弱み」を「強み」に変えられる場所を見つけることができたのだと思います。

もちろん最初からうまくいっていたわけではありません。葉っぱ切り絵を始めた当初は、それほど反応がなく、「どうしてだろう」と日々模索していました。

自分が好きな恐竜や不思議な生き物、ウルトラマンといったキャラクターをモチーフにした作品を作ることが多かったのですが、今思い返せば裏には、その切り絵の細かい技術を称賛してもらいたい、という気持ちがあったのだと思います。

次ページ喜ばれたのは「技術」ではなく「物語」
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