原油価格は7月以降さらに上昇する懸念がある 1ドル=70バレル台の価格は一体いくらに?

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原油に限らず、需要の好調さが上昇を主導している商品相場というのは、安定的な上昇トレンドを作り出すことが多い。例えば、原油であれば大油田へのドローン攻撃、穀物市場ならば天候不順などによる生産地の作柄悪化など、供給面の不安材料を手掛かりとした上昇は、値動きこそ激しくなることが多いが、結局は短命に終わることが多い。これらの要因による生産の落ち込みというのは、一時的なものに終わってしまうことがほとんどだし、最悪の場合には備蓄の放出など、供給を補充する手段があることも大きいからだ。

一方、需要の増加は経済成長などを背景としていることが多い、それだけに簡単に崩れることはない。昨年のコロナ感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)や、2001年の「911同時多発テロ」後の需要の落ち込みのような非常事態を除けば、景気の回復に伴う需要の増加は、安定して長期間続く可能性が高く、その間は継続的な相場の押し上げ要因となるからだ。足元の原油高の進行は、まさに需要増加が支えとなっているわけで、まだかなりの期間続くと考えておいたほうがよさそうだ。

アメリカ国民の多くはドライブへ、需要はさらに増加

さて7月4日は、言わずと知れたアメリカの独立記念日だ。アメリカの夏は5月の最終月曜日と定められているメモリアルデーの連休から始まるとされているが、多くの人が本格的に休みを取り、旅行に出かけるのはこの独立記念日の後からとなる。

まさに夏のドライブシーズンは、これからがピークを迎えるということになる。特に今年は、コロナの感染が拡大する中で満足に外に出ることもできなかった昨年の反動もあり、多くの人が積極的に外に出かけると見られている。

全米自動車協会(AAA)の推定によると、今年の独立記念日(7月1日-5日)前後にドライブで旅行に出かけるアメリカの国民は4360万人と、前年比で34.1%増加するという。この予想は2年前の2019年に比べても5.1%の増加となっており、ワクチンの接種によって気分が前向きになった人々が、積極的に行動しようとしていることが見て取れる。

また航空機を使った旅行も350万人と、こちらも前年2.5倍とに増加、2019年からは10.3%減少すると見られている。これは海外旅行などではまださまざまな規制が残っている影響だろう。いずれにせよ、人々が今年の夏に積極的に旅行に出かけるのは間違いなく、それにつれてガソリンや航空燃料の需要が大幅に増加することになる。

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