日本に住む外国人憤慨させる「政府アプリ」の正体 日本人ならダウンロードできることへの恐怖感

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「このアプリは本来の利用者ではない人たちが使うことになるだろう。自警団気取りの人々はすでに正当な理由もなく在留カードを見せてくれと人々に頼んでいる」「私が引っ越した時、近所の人が私の在留カードを見せてくれと頼んできた。右翼の『自警団』気取りはこのアプリをきっと気に入るだろう」

エーデルスタインは警察によってこのアプリが悪用される可能性についても懸念する。

「もしも(在留カードを見せろという一般人に)ノーと言ったとき、彼らが警察官を呼んだらどうなるだろう? 外国人はすでに外国人であるという理由で暇を持て余した警察官から嫌がらせを受けている。スーツとネクタイを着ていれば話は別だが。警察がしょっちゅう外国人を呼び止めているのを見かける。

これからは、警察官から数え切れないほどの質問を受けるだけでなく、在留カードをアプリでスキャンされるようになるだろう。もしアプリが間違っていたり、警察の携帯が故障していたりしたとしよう。彼らはその外国人を警察署へと連れて行くだろう」

日本で暮らす外国人への影響は大きい

あくまで私の体験だが、日本の警察官たちは外国人を疑う傾向を持っている。だからこそ、合法で滞在しているにもかかわらず、不法滞在者であるという疑いをかけられて警察署に連れて行かれるのだけは絶対に避けたいと思っている。

今回の件は明らかに、日本で合法的に暮らす外国人にとってもさまざまな問題を引き起こすものとなりうる。このことはアプリの開発中に考慮に入れる必要もあった。

経営者が知らずに不法滞在を雇わずに済むなどこうしたアプリのニーズはあるのかもしれないが、それを正当な理由もなしに広くすべての人へと配布すれば間違ったメッセージを送ることになる。外国人嫌いを悪化させ、人種差別主義を増長すらさせうるメッセージを。

バイエ・マクニール 作家

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Baye McNeil

2004年来日。作家として日本での生活に関して2作品上梓したほか、ジャパン・タイムズ紙のコラムニストとして、日本に住むアフリカ系の人々の生活について執筆。また、日本における人種や多様化問題についての講演やワークショップも行っている。ジャズと映画、そしてラーメンをこよなく愛する。現在、第1作を翻訳中。

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