ノア、セレナ…ミニバン4モデルの購入者を分析 ガチライバルの比較で見えた意外に違う購入層

拡大
縮小

この5つのセグメントの構成を車種ごとにまとめたものが、「顧客構成」である。その結果、ステップワゴンのみ「3連続リピーター」の割合が少なく、その分「スイッチ」が多いという特徴が見つかった。

 

 

では、この特徴はどのような影響を及ぼすのか。「スイッチ」が多いということは、他メーカーから顧客を奪取できているのではないか、と考えることもできる。そう考えればその分リピーターが少なくても仕方ないかもしれない。

だが、先の5分類の顧客構成と再購入意向(次も同じメーカーから購入したいかどうか)の関係を見てみると、メーカーによって幅はあるが、次の結果となる。つまり、「スイッチ」よりも「リピーター」のほうが再購入意向の観点では有望なユーザーである。

 

自動車に限らずさまざまな商材や、飲食店や美容院などのサービス業においても「リピーター」の必要性は語られてきているが、改めてデータで見てみれば納得の結果である。

各車ともモデル末期。次世代型でどうなるか?

最後に4車種について簡単にまとめておこう。ステップワゴンは、“リピーターの少なさ”が問題である。セレナは、リピーターが占める割合はノア/ヴォクシーと大きな差はなかったが、再購入意向になると水をあけられている。

リピーターは多く、スイッチが少ない、それなのに再購入意向が伸びてこないので、このままではリピーターの割合が将来的に目減りしていくリスクを抱えている。ノア/ヴォクシーは、競合車との戦いにおいては今のところ先を行っているといっていいだろう。

現行モデルのデビューは、ノア/ヴォクシーが2014年、セレナが2016年、ステップワゴンが2015年と、いずれも5年以上が経過しており、フルモデルチェンジの噂も聞こえてくるころだ。

ミニバンユーザーは価格に敏感な人が多いが、次世代モデルでのコネクティッド機能の展開などによっては、これまでの勢力図を変える可能性があるかもしれない。

三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT