ハーバード名誉教授が警鐘!「監視資本主義」の罠 私が人類のために本気で伝えたかったこと

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この大きな変化は、わたしたち、わたしたちの子ども、民主主義、さらにはデジタル世界に生きる人類の未来にとって、何を意味するだろう。

新たに出現した「行動先物市場」

本書はこれらの問いに答えることを目的とし、デジタルの夢が暗黒化し、かつてない貪欲な商業プロジェクトへと急速に変化しつつあることについて述べていく。その貪欲なプロジェクトをわたしは、監視資本主義と名づけた。

監視資本主義は人間の経験を、行動データに変換するための無料の原材料として一方的に要求する。これらのデータの一部は、製品やサービスを向上させるために使われるが、残りは占有的な「行動余剰」と宣言され、「人工知能」と呼ばれる先進的な製造プロセスに送られ、わたしたちの行動を予測する予測製品へと加工される。

最終的にこれらの予測製品は、新種の行動予測市場で取引される。その市場をわたしは「行動先物市場」と名づけた。監視資本主義者はこうした取引から莫大な富を得た。なぜなら、わたしたちの未来の行動に賭け金を投じようとする企業は無数にあるからだ。

●監視資本主義者が貪り食うもの

監視資本主義は、初期のデジタルの夢とは逆の方向に進み、「アウェア・ホーム」を古代の歴史に追いやった。それどころか、ネットワーク化にはある種の道徳が伴うという幻想さえ打ち砕いた。

つまり、「接続されている」ことは本質的に社会的で、包括的で、当然ながら知識の民主化に向かう、という思い込みを否定したのだ。デジタル接続は、今では他者の商業目的をかなえる手段になった。その核になっている監視資本主義は、寄生的で自己主張が強い。

「労働を餌食にする吸血鬼」というカール・マルクスが描いた資本主義の古いイメージが想起されるが、この吸血鬼は思いもよらない方向転換を遂げた。それが貪り食うのは、「労働」ではなく、人間のあらゆる経験のあらゆる側面なのだ。

●人間の本質を犠牲にする情報文明

監視資本主義は、前例のない知識と力の非対称を通して機能する。監視資本主義はわたしたちについてあらゆることを知っているが、その操作は、わたしたちに知られないように設計されている。

監視資本主義は膨大な量の知識を蓄積していくが、それはわたしたちから引き出した知識であって、わたしたちのための知識ではない。監視資本主義はわたしたちの未来を予測するが、それもわたしたちのためではなく、他者の利益のためだ。

監視資本主義とその行動先物市場が繁栄している限り、21世紀の資本家に多くの富と力をもたらすのは、生産手段を持つ者ではなく、新たな行動修正の手段を持つ者だ。

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