コロナ禍で「パリ離れ」が加速するフランスのなぜ 日本と似ている「一極集中」その解消への課題

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フランスの大都市は不動産価格の高騰、繰り返される異常気象による熱波、抗議デモの増加、大気汚染、人口集中で田舎志向は強まるばかりだ。

『田舎のルネッサンス』の著者であるヴァンサン・グリモー氏は「都市は仕事、余暇、文化が集中することでメリットがあったが、今はデメリットのほうが強く感じられるようになった」と指摘している。実際、首都を離れたいという願望は、コロナ危機で10倍に膨らんだという。

フランスの管理職専門就職斡旋会社Cadremploiの調査によれば、パリの管理職幹部10人のうち8人以上がパリを離れたいと考えている、という統計が昨年8月に発表された。彼ら彼女らの多くが「パリにいたのではワークライフバランスを保つのは不可能」との不満がある。引っ越し先はパリから900キロ離れたペイ・バスクや400キロ以上離れたブルターニュ地方だ。

多くは家族ごと引っ越して、富裕層の場合は広大な庭と広い家を入手している。また平均的なビジネスパーソンであっても、パリとは比較にならない仕事部屋などのスペースを確保している。

都市部に隣接した田舎町を選択することが多い

田舎生活といっても、冒頭に登場したブノワ氏を含め、大都会からの移住者は都市部に隣接した田舎町を選ぶ場合が多い。理由は病院や役所、大型ショッピングセンターなどのライフラインに近いことが条件だからだ。

パリでは夜遅くでも買い物できたが、田舎暮らしではそうはいかない。計画的な買い物が要求され、移動はすべて車ということになる。それでも高齢者の住民もいて、車の相乗りなど助け合いが自然にできていることに驚かされる移住者は多いという。

パリから150キロ圏内で通勤も可能な2拠点生活を選択する人もいる。パリには寝るだけのアパートを持ち、家族の住む本宅は自然に囲まれた田舎に構えるというのが不動産市場の新しいトレンド。週末や長期バカンスだけを別荘で過ごすのではなく、家族は田舎の家に住み、場合によっては教育をリモートで行い、夫や妻は在宅勤務と通勤を半々にする生活をするスタイルだ。

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