だからブリヂストンは五輪への協賛を決めた

TOPスポンサー契約が映す、グローバル戦略の転換

IOCは競技会場での企業ロゴ看板、広告を認めていない。しかし、パナソニックの場合は、競技会場に納入されている大型ディスプレイや音響機器といった製品自体に企業ロゴが入っているため、結果的に企業名が認知されやすい。

機器が使用されたことで、次の商機につながるケースがあるという。たとえば、ソチでの納入実績によって「今まで見向きもしてもらえなかったロシアの会社から声を掛けてもらえたと聞いている」(パナソニックの園田俊介・オリンピックマーケティング室室長)。

さらに、企業・団体のトップや政府関係者など、キーパーソンとの関係を構築するということも大きな意義の1つだ。「通常では入り込めないターゲットにリーチし、トップダウンで提案することが可能になる。スポンサーの立場を利用してビジネスの拡大が見込める」(園田氏)。

ロゴの露出は気にしない?

IOCのバッハ会長(右)と握手を交わすブリヂストンの津谷正明CEO

具体的な権利の活用策について、ブリヂストンの石橋専務は今のところ「これから検討していく」と答えるにとどめる。ただ、たとえば主力製品であるタイヤに関しては、自動車メーカーとの連携が考えられそうだ。

自動車はTOPスポンサーの業種にはなっていないが、開催国でのみ宣伝権を持つ大会スポンサーになることは可能。すでに日産自動車が2016年のリオ大会における公式スポンサーに決まっている。日産は2014年に工場を稼動させるなどブラジル市場に力を入れており、大会期間中に4500台の車両を提供する予定だ。日産とうまく手を組むことができれば、大きな宣伝効果が期待できよう。

気になる点があるとすれば、パナソニックが手掛ける機器に比べて、ブリヂストンの提供するタイヤは、企業ロゴが目立ちにくいということだ。これについて、石橋専務は「ロゴの露出はあまり気にしていない。権利を獲得した後のやり方しだいだと思っている」と意に介していない。

というのも、ブリヂストンのタイヤ販売は7割がアフターマーケット向け(修理・交換用)。販売店の店頭でTOPスポンサーに絡めたキャンペーンを展開すれば、十分に効果が期待できる。さらに、販売店へのインセンティブや消費者の販売促進のための招待行事につなげていくという手法も考えられる。

せっかく手にしたTOPスポンサーの権利を生かすも殺すも、その組み合わせ方しだい。ブリヂストンが描くグローバル戦略の成否は、権利活用の巧拙に懸かっている。

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