FOMCで分かった米金融当局のインフレ上振れ懸念

2023年末までに2回の利上げとシグナル発信

米金融当局者は過去数カ月間、物価上昇は一過性のものだと説明してきた。しかし、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合が終わってみると、当局者はそれほど確信を持てなくなっていることが浮き彫りとなった。

最新の金利予測分布図(ドット・プロット)は、当局者が2023年末までに2回の利上げを見込んでいることを示唆し、金融市場は不意を突かれたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はその後の記者会見で、「われわれの想定よりインフレ率が高くなるリスクはあるだろうか」とした上で、それは「イエスだ」と語った。

経済活動再開に伴う最近の物価上昇が、金融当局者のこれまでの説明の通り一時的なのか、もっと持続的であるのかを巡って、当局者は投資家や批判者との間で綱引きを繰り広げてきた。

パウエル議長は「かなりの不確実性がある」と指摘。そしてFOMC参加者も最新の四半期経済予測で実際に今後3年間のインフレ率の見通しを上方修正した。21-23年の予想はいずれも2%の当局目標を上回っている。

金融当局が昨年8月に採用した政策の新たな戦略では、物価上昇に従来よりも辛抱強く臨むことが求められる。だが最新のインフレ見通しからは、長期の物価上昇を試すことを当局者の大部分は望んでいない様子がうかがわれる。 

当局目標を上回る物価上昇が3年間続けば、一般の人々の認識にも浸透し始め、インフレ期待が上方にシフトするリスクがある。今回のFOMCは主に、当局者としてそうした事態は生じさせない意向であるとのシグナルを発する趣旨だったと考えられる。

マクロポリシー・パースペクティブズの創設パートナー、ジュリア・コロナド氏は当局者について、「会合前のコメントに比べ、インフレ上振れのリスクへの懸念を大幅に強めている。彼らは心配しており、それに対処したいと望んでいる」との分析を示した。

また、元FRBエコノミストで、現在はジョンズ・ホプキンズ大学経済学教授のジョナサン・ライト氏はFOMCについて、「委員会がこうした方向に少し進んだ理由はリスク管理だ。過熱のリスクは以前よりもやや大きくなっている」と話した。

原題:Fed Officials Rattle Rate-Hike Saber as Price Pressures Surprise(抜粋)

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著者:Craig Torres

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