今のうちに行っておきたい新橋「シブいビル」2選 「ニュー新橋ビル」と「新橋駅前ビル」の来歴
池袋、新宿西口、高田馬場、有楽町など都心の山手線駅前にも、1960-70年代築のビルが並んでいる街は案外たくさんある。中でもその代表格としてイメージされるのは新橋だろう。テレビニュースで中年男性の街頭インタビューの場として毎日のように映し出されるのが、新橋駅烏森口のニュー新橋ビル前の広場だ。
新橋のランドマークと言えば、このSL広場に面したニュー新橋ビル、そして汐留口側(東口)の新橋駅前ビル。いずれも、戦後闇市が発展した新橋駅前の再開発事業として、1960-70年代に東京都が地権者をまとめて建てたビルだ。
実はこの両ビルでは、すでに再開発のための準備組合、協議会が結成され、近い将来、新しいビルへの建て替えを目指している。新橋ならではの昭和の雰囲気も、今しばらくの間しか味わえず、5年後にはまったく別の景観に変化しているかもしれないのだ。
烏森側のニュー新橋ビルは白い立体網目模様のような外壁が何よりの特徴。この凸凹はフィボナッチ数列という数学的規則によって配列されているそうだ。
かつては住居用のフロアも
1971年築の11階建のビルは、地下1階から4階には店舗が、それより上はオフィスフロアになっているが、竣工時には10、11階に計75戸もの住居が設けられていた。今そのほとんどは事務所に転用されているという。
1階には紳士服、金券ショップ、ドラッグストア、ジューススタンド、宝くじ売り場からPCR検査センターまであり、会社員の日常をあらゆる面からサポートしてくれる。そして、昭和の趣き豊かな喫茶店や、ナポリタンやハンバーグ、揚げ物が人気メニューの昼飯処。名物ママやマスターのいる居酒屋やバーと、新橋駅前のこのビルならではの飲食店が並んでいる。
再開発後、これらの店が存続するのかが、まず心配になるところだ。2階はビル内でも異質で、20年近く前からアジア系のマッサージ店街になり、ちょっと大人の街の雰囲気が漂っている。最近はマッサージ店の勢力がさらに拡大し、3階にも同業種の店が増えている。
ビル内では元は地権者たちが自ら店を営んでいたが、50年の歳月のうちに賃貸に出す区画も増え、テナントはその時々で変容してきた。店舗はそのたびに改装されてきたが、館内でずっと変わらないのは、計5カ所ある階段のデザイン。それぞれ壁タイルの色が異なり、陶板タイルの質感や色合いは70年代ならではのものだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら