「スマホの見すぎ」が招く世にも恐ろしい3大弊害 集中力低下、うつ、肥満などデメリットは深刻

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「勉強すると自室にこもったはずが、実はまったく勉強をしていなかった。スマホを自室に持ち込んだせいで、SNSのやり取りをしたりで忙しく、まったく集中できていなかったようだ。おかげで成績がガタ落ちで、スマホを取り上げることになった」

ある中学生の保護者に聞いた話だが、これは珍しいことではない。

「ゲーム依存」は、2018年にWHOによって病理と認定された。ゲーム依存症患者は、アルコール中毒、ギャンブル中毒患者と脳の状態が酷似した状態となっている。また、SNSにおける「いいね」は、つくかどうかわからないため、ついた時にはドーパミンが放出され、中毒性の高さが指摘されている。

ゲームやSNSだけでなく、スマホの存在自体で集中力が削がれることもわかっている。米テキサス大学の心理学者エイドリアン・ウォード氏は、800人の被験者に対して問題を解かせる実験を行っている。参加者はスマホを机の上に下向きに置くか、ポケットやバッグの中に置くか、別の部屋に置くように無作為に指示された。そのうえで、数学の問題を解いたり、無作為な文字列を記憶させたり、複数の画像からパターンを見いださせたりさせた。

その結果、別の部屋に置いた者は、机の上に置いた者よりずっと高い点数となり、ポケットやバッグに入れた者よりもわずかに高い点数となった。スマホがオン・オフどちらであろうと関係なく、途中で通知があったわけでもない。つまり、スマホが目の前にあるだけで気が散り、集中力や認知能力が下がるということを意味しているのだ。

スマホがあることで、われわれは認知能力に統計的に有意なマイナスの影響を受ける。それは睡眠不足と同程度になるという。先に紹介したように子どもの成績低下などにつながるだけでなく、大人も仕事の集中力や能力低下につながる可能性が高い。

リスクその2:視力低下

「子どもの視力が一気に下がってしまい、眼鏡をかけることになりそう。最近スマホばかり見ていたからかと後悔している」

小学生の子どもを持つある30代主婦は、子どもの視力が低下したことを気に病む。

令和元年度学校保健統計(令和2年3月)によると、裸眼視力1.0 未満の児童生徒は、小学校、中学校、高等学校で過去最多となっており、子どもたちの視力の低下傾向は続いている。

ロート製薬の「コロナ禍における子どもの目の調査」(2020年10月)によると、新型コロナウイルス感染症の流行前の2020年1月頃と比較し、視力が悪くなっていると診断を受けたり、感じるとの回答は、約5人に一人(18.6%)に上った。

小学生以上の子どもを持つ方に限ると、約4人に一人(24.4%)が視力が悪くなっていると診断を受けたり、感じると回答している。

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