「小林礼奈と中本」の騒動、本人や店じゃない元凶 小さな出来事を大きな騒動に仕立てる構図

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そんなネット上の騒動に乗りかかる形でニュースとして採り上げる民放各局の情報番組にも問題視されるべきところがあります。

たとえば、10日の「めざまし8」(フジテレビ系)は、このニュースを番組序盤に採り上げ、詳細を紹介したあと、コメンテーターのトラウデン直美さんが「お子さんがいるときは少しあたたかい目で見てもいいのかなと思ってしまいますね」とコメントしていました。ふだんは鋭い発言の目立つトラウデン直美さんが内容の薄いコメントをしたのは、「語る必然性を感じない出来事だから」ではないでしょうか。

また、これを受けたMCの谷原章介さんは、「お店側もそういうスタンスでいたと思うんですけど、今って8時までの(時短)営業で、ただでさえ人数も制限して回転も上げたい。待っているお客さんもいる。待つ側も待たせている側も双方気を遣い合うことって大事だと思います」と語りました。こちらも、まるで道徳の授業で小学生に言い聞かせるような内容の薄いコメントだったのです。

さらに谷原さんは、「気になるのは、お子さん蒙古タンメン食べてないのかな。辛いのが心配だから」というコメントで締めくくりました。ところが小林さんのブログには、「子供は『塩タンメン』。これなら子供も食べられるね」と真っ先につづられていたのです。冒頭のニュースとして扱っているにもかかわらず、番組を代表して語る人が発端のブログを読まずに言及してしまうところに、情報番組の危うさがにじみ出ていました。

このような情報番組の制作姿勢も、小さな出来事を大きな騒動に変えるミスリードの原因となっているのです。

クリエイティブを失う横並び志向

ネットメディアも、テレビの情報番組も、そろそろ社会の変化に合わせた配信・放送のガイドラインを見直すべき時期なのかもしれません。「他がやっているからウチもやろう」「あそこが数字獲っているからウチもやらないわけにはいかない」というネガティブな横並び思考を続けていくほど、クリエイティブの力は落ちていく一方でしょう。

また、それらを見る私たちも、誘いに乗って誰かを叩くのではなく、生産性のあるニュースに目を向けていきたいところ。誰かを叩いても、日ごろのストレスは一時的にしか晴れず、それどころか自分の心に負の感情が蓄積されるなど、ジワジワとメンタルがむしばまれていくだけなのです。

小さな出来事を大きな騒動にするようなニュースではなく、健全な議論につながり、気づきや教訓を得られるニュースが配信・放送され、人々の暮らしが豊かになっていくことを願っています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事