出遅れ日本株は相場の移行期、秋口から上昇へ りそなAMエコノミスト・黒瀬浩一氏の市場予測
――景気対策のあとには財政の崖が来るわけですね。来年以降は、成長はかつてのトレンドに回帰していきますか。
今回は崖がどうしても大きくなるし、いずれはトレンドに回帰しますが、コロナ禍前の景気がよかったので、そこまで戻るには時間がかかると思います。景気の見方についてFRB(連邦準備制度理事会)と市場の見方に乖離があったが、今では市場の見方も、やはりFRBが正しいんじゃないかという方向へ修正されつつある。
期待インフレ率は物価連動債の動きから計算できるブレーク・イーブン・インフレ率で、2年、5年、10年、20年と見ていくと、2年がいちばん高い。つまり、市場もインフレ率は将来また下がっちゃうと見ている。インフレ率は前年下がったことのベース効果で、今年3~5月がいちばん高く、6月ぐらいから少し落ちてくるでしょう。
4月のCPI(消費者物価指数)上昇率の4.2%はちょっと騒がれたけれど、もう落ち着いています。その後の雇用統計も小売り統計も期待されたほど良くなかった。景気が良いときというのはすべてが良くなるが、今は局所的。8月になるとサービス消費が復活する代わりに財の消費ではむしろ悪い数字が出てくると見ています。
中国経済のピークアウトに注目すべき
――インフレの過熱や長期金利の上昇をあまり心配する必要はないと。
中国の数字を見ておく必要があります。中国の社会融資総量というデータは国も民間も合わせた中国の借金の総額を示しています。金融、財政政策の効果は借金しないと出ませんので、それを見るわけです。これは製造業PMI(購買担当者景気指数)と連動している。中国が景気対策を打ち切って社会融資総量はすでにピークアウトしています。PMIも下がってくるし、商品相場で言えば金属系の需要もピークアウトしているはずです。
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