出遅れ日本株は相場の移行期、秋口から上昇へ りそなAMエコノミスト・黒瀬浩一氏の市場予測

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日本株全体は足踏み状態だが、銘柄は入れ替わりつつある(写真:Bloomberg)
アメリカではインフレと長期金利の上昇リスクが懸念されている。また、日本の株価はこのところ足踏み状態が続いている。FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(緩和縮小)観測も強まる中、りそなアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏に今後の展開を予想してもらった。

アメリカのインフレ圧力は続かない

――アメリカでインフレ圧力が高まり、長期金利が上昇し、株価の大幅下落につながるのではないかと見る向きは多い。そうした見方の背景には商品相場の上昇もあります。

2000年代に入ってアメリカでは商品相場が上昇しても、人件費が上がらない状態が続いてきました。そうするとインフレにはならないんですね。2008年にWTI原油価格は1バレル=140ドルにまで上昇し、2011年にも100ドルを超えた。でも、人件費が上がらないのでインフレにならなかった。資源価格が上がったら、むしろ企業は他のコストを抑えにかかる。かつてのように賃金に波及していかないと思います。

――リーマンショック後に長期停滞論を唱えていたサマーズ元財務長官がコロナ危機後はアメリカの財政拡大によるインフレ圧力を懸念する発言をして話題になりました。しかし、そこまで需要は強くないと見ているわけですね。

そう思いますね。そろそろ結果が判明してきます。昨年は給付金の大盤振る舞いで個人所得が増えて、小売り売上高も伸びた。巣ごもり需要だから、売れたのはIT関連機器、家電、家具、そして住宅。しかし、ワクチンの普及によって皆が外へ出るようになったら、こうした消費は一気に落ちると思います。代わりにパーティや旅行にお金を使う。けれども、給付金がなくなるので、消費全体としては大きく伸びない。

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