クレーン大手・タダノが挑む海外買収戦略の大胆

独社買収で建設工事の大型化、風力発電に対応

風力発電機と、作業を行うクローラークレーン(写真:タダノ)

建設用などに使われる移動式クレーンで世界最大手級のタダノが過去最大の赤字に沈んだ。同社が赤字になるのは、東日本大震災が直撃した2011年3月期以来10期ぶり。2021年3月期は約42億円の営業損失を計上した。

赤字の要因になったのがドイツにある子会社のデマーグとファウンだ。タダノはデマーグを2019年に約240億円をかけて買収したものの、前の親会社が利益率の高い機種に開発を集中させたことで競争力が低下しており、赤字が続いた。

【2021年6月8日11時6分追記】初出時の一部表記を上記のように修正いたします。

タダノ本体が稼いでいるうちはデマーグの赤字を補うことができたが、2021年3月期はデマーグとファウン合計で約120億円の赤字を計上。頼みの綱であるタダノ本体もコロナ禍で利益が大きく減少した。

建設工事や風力発電でクレーンが大型化

タダノの主戦場である移動式の建設用クレーンには、大きく分けて4つの種類がある。持ち上げ可能な重量が小さいほうからトラッククレーン、ラフテレンクレーン(RT)、オールテレーンクレーン(AT)、クローラークレーン(CC)だ。この中でタダノが主力としているのは中小型のRTで、持ち上げ重量は最大145トン程度にすぎない。

ラオスの工事現場ではラフテレンクレーンが大活躍(写真:タダノ)

持ち上げ重量はATだと1000トン以上、CCになると3000トン以上の荷物を持ち上げられる機種もある。タダノは大型のATやCCを生産するノウハウを持たず、ATへの進出を狙って1990年にドイツのファウンを買収したが、ファウンには最大でも400トン持ち上げクラスの製品しかなかった。

建設工事は近年、ますます大型化が進んでいる。例えば、橋梁や線路などの工事では、事前にある程度組み上げた橋桁などの大型のパーツを、大型のクレーンで持ち上げてはめこむような工法が増えている。この工法を使えば短時間での施工が可能になり、道路や線路の工事も夜間に封鎖すれば施工が可能となる。

また、欧米を中心に注目を集める風力発電でも大型クレーンは必須の存在だ。風力発電の装置は大型化しており、高さ200メートルを超えるものもある。タダノが主力とするRTでは十分な高さで作業が行えないため、ATやCCなどの大型クレーンのニーズが高まっているのだ。

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