火災保険「詐欺や不正請求」が多発しているなぜ 「家の修理」に活用したいと考えていませんか?
そんな中、火災保険の不正請求、詐取が頻発している。最近、ネット上で一戸建てなどの不動産所有者を狙い、「請求をすれば保険金が支払われる」「保険金を有効活用しよう」と呼びかける広告があるが、そのたぐいである。
これには大きく分けて3種類ある。1つは工務店などが主に高齢者宅を狙って保険金が出るから工事をしましょう、と持ちかけるもの。経年劣化による損害は保険の対象外であるにもかかわらず、工事を行って多額な工事費を消費者に支払わせる場合もあり、国民生活センターに相談が寄せられている。
もう1つは最初から工事をするつもりのない事業者が、保険金がもらえるからと不動産所有者に持ち掛けるもので、おりた保険金のうちの一定額を受け取る、おりなくても一定額を払わせると言った詐欺。中には、持ち掛けられたほうもぐるになっている、そもそも不動産所有者が詐取を意図して請求するパターンもある。
さらに3つ目は、善意から不動産所有者にアドバイスし、工事をするというものだが、率直なところ、善意悪意の境は明らかではない。
カバレッジ範囲の知識がない人が少なくない
そもそも保険金請求を商売にする人たちが登場し始めたのは1996年4月の保険業法の抜本的な改正以降。保険の自由化、特に2001年から一気に増えた総合補償型火災保険商品がきっかけだったのではないか、と保険ヴィレッジの斎藤慎治氏は指摘する。
火災だけでなく、風水害などの自然災害や盗難などによる建物、家財への損害など非常に幅広い損害を対象にするようになったのだが、通称は火災保険のまま。そのため、一般の人の認識が商品拡大についていけておらず、いまだに火事にしか保険金が出ないと思っている人もいるという。
こうした中、保険商品の多様化をわかっていない人たちに、「実はこれにも保険金がでる」と教えることを思いついた人たちがいた。その代わりに保険金の一部を請求する人や、保険金がもらえればお金がなくても修理ができると善意で持ちかけた人も。これが悪意と善意の境が難しいゆえんだ。
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