火災保険「詐欺や不正請求」が多発しているなぜ 「家の修理」に活用したいと考えていませんか?
そこで、損保各社は大型台風などの直後には臨時に災害対策室を設置し、通常の事故とは分けて処理に当たるようにした。代理店が入れなくなったのをいいことに、災害後の保険請求には建設関係を始め、有象無象の名称だけコンサルが入り込むようになってしまった。
損保各社が情報を共有していないという点も狙われている。自動車保険の場合には加入者情報は共有されており、事故の履歴がある人はどこの保険を利用しても、その履歴に応じた等級で契約することになる。ところが火災保険の場合にはこうした仕組みがない。
また、自動車保険の場合には、修理工場に直接修理代金を払う仕組みになっているが、火災保険では修理事業者に支払うほか、数は多くはないものの保険加入者に直接支払うケースがある。最初から修理するつもりがない場合に悪用しやすい仕組みがあるのだ。
プロが見れば不自然な請求も多い
建物の壊れた原因など見てもわからないだろうとたかを括っている例も多い。確かに素人にはわからない。だが、プロが見れば一目瞭然だ。
「勾配のない屋根で足場不要なのに足場代が含まれた請求、塩化ビニール製で、本来は伸縮する雨樋が硬化するほど放置されて曲がっているのを台風で歪んだと言い張る例、台風で飛んだというのに不自然にずれている瓦、1~2年前の台風被害とは言えないほど天井が腐って劣化している例など挙げだせばきりがありません。最近は自作自演と思われる現場を見ることもあります」と被害認定に当たっている大久保新氏は話す。
高額な足場を組むことにして工事費を水増ししたいため、屋根、雨樋の請求では特に不審な現場が多いそうだ。
現場の状況だけでなく、請求の根拠となる概算を出してくる事業者にもおかしな点があるという。
「被害は鹿児島なのに、申請を出した会社は東京、大阪にあり、しかも住所が実在していない、工務店というのに都心部のバーチャルオフィスに事務所がある事業者も。建築関連の知識がないのか、見積もり自体に精密さ、リアリティがなく、稚拙なこともよくあります」(大久保氏)
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