ガザ地区の高層ビルが攻撃対象にされる理由 高層ビルを生活の場とするガザ地区住民の気持ち

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就職機会の乏しいガザで、若者を雇ってくれる、さまざまなサービスを提供する会社や団体などがタワーマンションにすべて入っている。新しくビジネスを始めようとする起業家たちも皆、タワーマンションへの入居を目指す。

今回の攻撃で電力は途絶えたが、その前からガザの停電はひどかった。1日に3~4時間しか電気が来ない。だが高層ビルでは、入居する会社が共同出資して発電機を購入し、停電中の電力が供給される。それも、高層ビルが人気である理由の一つでもある。

今回イスラエルは多くの高層ビルをロケット攻撃した。シュルーグ・タワーやガザで2番目に高かったジャラー・タワー、多くのドラマや歌の動画などの撮影が行われたマシャーリク製作スタジオ・ビル、アンダルシア・タワー、ムシタヒ(カイロ)・タワー、ハナーディ・タワー……。主なタワーがすべて倒壊した。

実効支配するハマースへの支持は高い

今回倒壊したビルのがれきの山では、まだ遺体の捜索が続いている。重機がないため、援助活動は困難を極め、道具があれば助けられたはずの命も犠牲になった。倒壊したビルからは死臭が漂っている。それはまだ発見されていない遺体がそこにあることを物語っているのだが、死臭のするがれきの山で子どもたちが遊んでいる。一方で、倒壊したビルから奇跡的に助かったものの、ショックで声がでなくなった子どももいる。

このような攻撃は初めてではない。2019年にも2014年にも、ムーン・タワー、ザーフィル・タワー4番、複合施設のイタリアン・タワー、サラーム・タワー、バーシャ・タワーなどが攻撃された。かつてイスラエル軍は建物を攻撃する場合、1部屋、2部屋とピンポイントな攻撃に留めていた。ところが、2014年ごろからタワーのような大きな建物全体を倒壊させるような攻撃をするようになった。今回の攻撃では500以上のタワーやビル、マンション、住宅がロケットで攻撃された。これは過去最大規模で、国際社会から非難の声が上がっている。

ガザ地区内のハマース支持率は高い。イスラエル軍は過去にガザ地区内に侵攻したこともあったが、激しい市街戦に戦い抜き、ハマースを駆除、壊滅させることは不可能と思い知り、撤退した。かわりにハマースがロケット攻撃すると、集団責任を科して建物全体を破壊して、一般市民のハマースへの批判を引き出して、ハマース攻撃を抑制しようとした。

警告なしに攻撃すると、無辜の市民が犠牲になり、戦争犯罪になる。そのため、攻撃前に爆撃予告地域の住民の携帯にかけて、非難するよう伝える。それをイスラエル政府は「人道的」と自画自賛するが、一家20人とかの大所帯がたくさん住む建物の避難は短時間では終わらない。貴重品を持ち出す猶予もない。逃げ遅れた人は犠牲になる。着の身着のまま避難したところで、助かるのは命だけ。全財産を失う。

ガザの人たちは賽の河原のように、建てては壊されてを繰り返した。いまでは開き直ってしまい、死んでも出ていかない。自分たちは何も悪いことをしていない。ハマースを攻撃するなら勝手に攻撃すればよい。自分たちは無関係だ。一般市民を無差別殺人するのは国際法違反で戦争犯罪だ。それでも殺すというなら殺せ。われわれは死も恐れないと意固地になって家を離れない。

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