文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手
同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない。
実際の会談でいくら気まずい空気が漂っても、あるいは首脳同士の肌が合わなかったり、深刻な意見の違いがあっても、記者会見になると互いににこやかな笑顔で握手し、「信頼関係が構築された」などと演出する。そして、さまざまな合意内容が列挙された共同声明などの文書が公表される。
もちろん対立点が記録されることはないし、一方の国の主張だけが色濃く反映されることもない。表向きはすべてがうまくいったように装われ、首脳は自国民に向けて会談の成果を強調できるように作られている。
韓国大統領は会談成果を「自画自賛」
5月22日(日本時間)、ワシントンでのバイデン大統領と韓国の文在寅大統領との会談も「失敗のない」外交の一例だろう。文大統領は「最高の歴訪、最高の会談だった」などと自画自賛している。
韓国国内で新型コロナウイルスのワクチンの委託生産ができるようになったことや、韓国軍55万人へのワクチン提供を確約してもらったことなど、わかりやすい成果が強調されている。事あるごとに激しく大統領を批判する野党からも厳しい声は上がっていない。
もちろん、今回の首脳会談がそんな単純なものではないことは言うまでもない。
アメリカにとって韓国は付き合いやすい同盟国ではない。文大統領は核問題などを脇に置いてでも北朝鮮との関係改善を急ぎ、同時に中国との良好な関係を重視している。「日米同盟関係が外交の基軸」とうたって何でも言うことを聞いてくれる日本とは異なり、今一つ信用のおけない相手でもある。
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