肌の色でいじめられた娘のために父親が書いた本 学校でのいじめに父親はどう立ち向かったか

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その「何か」が『ミオ・ザ・ビューティフル』という本になった(和文翻訳はみうらせつこ氏)。子どもたちが、見慣れた人だけでなく、いろいろな人の美しさに気付けるよう励ます前向きな物語だ。

ブレイスウェイトさんがミオさんのために書いた『ミオ・ザ・ビューティフル』

読者は、外見、国籍、文化的背景、宗教、ジェンダー、性的指向などにかかわらず、すべての人間が似た感情を持っており、敬意を払うべき存在であるという絶対的――けれども理解されていない――真実に向き合う。

ブレイスウェイトさんは、娘が耐え、克服しなければならなかったのと同じ痛みをほかの子どもたちが味わわなくてすむようにとの願いと思いをこの本に注ぎこんだ。

残念ながら教師、保護者、生徒さえ、いじめを目撃しても黙っていることが多い。だが、ブレイスウェイトさんは傍観しているだけではいじめを止められないどころか、助長してしまうと考えている。これまでは解決できなかったが、積極的に押し返すことで結果は出るはずだ。

目下、2冊目を準備中

それはやってみる価値のある取り組みで、実際にミオの学校では成果が上がった。今ではミオの学校は、彼女と級友にふさわしく、教師やスタッフが子供達に与えたいと望んでいた、より安全な教育の場となった。たとえゼロにはならないとしても、いじめは絶対に許されない聖域だ。

2冊目となる『ケイ・ザ・トゥルーフレンド』

ブレイスウェイトさんは目下、『ミオ・ザ・ビューティフル』に続く2冊目の本の準備中だという。異なる人種の両親の間に生まれ、同じく日本で小学校に通う息子が主人公だ。クラウドファンディングのキックスターターでのキャンペーンが成功してプロジェクトに必要な資金が集まったため、今夏に発表される予定だ。

その本の題名は『ケイ・ザ・トゥルーフレンド』である。

バイエ・マクニール 作家

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Baye McNeil

2004年来日。作家として日本での生活に関して2作品上梓したほか、ジャパン・タイムズ紙のコラムニストとして、日本に住むアフリカ系の人々の生活について執筆。また、日本における人種や多様化問題についての講演やワークショップも行っている。ジャズと映画、そしてラーメンをこよなく愛する。現在、第1作を翻訳中。

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