観光客もその場で接種、「駅でワクチン」NYの現状 中南米からの訪米者急増、日本からの渡航者も

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一方、日本でのワクチン接種は、高齢者はもとより、それ以前に進んでいるはずだった医療従事者向けの接種さえも5割に満たないという状況で推移しており、50歳未満への接種はいつになるか不透明だ。

そんな中、ワクチン接種のために渡米する動きが広がっているという。アメリカは4月中旬以降、感染抑制対策やワクチン接種が効果を生んでいるとして、多くの国からの入国者に対する隔離措置を「義務」から「推奨」へとグレードダウンした。これにより、「訪米接種の旅」が現実的になったわけだ。

接種後に手渡される手書きの「接種済み証明」(写真:K氏)

商用で短期滞在者として渡米し、現地でJ&J製ワクチンの接種を受けたK氏は、「J&J製ワクチンなら1回接種で済む。コロナの影響で長期にわたってアメリカに行けなかったが、まさか商用のついでにワクチン接種が気軽に終えられるとは思わなかった」と、懐の深い対応に感心する。

「トラブルが起きたら」医師は警鐘

アメリカの保健当局であるCDCは「米国民に対する日本への旅行中止を呼びかける勧告(レベル4)」を発表したものの、日本からは引き続き接種希望者が渡米しているという(規則上、渡航禁止にはなっていない)。1年半近くにわたって海外旅行から遠のいている人々の目には「アメリカでのワクチン接種」は魅力的に映るようだ。

しかし、こうした人々は実際に接種までこぎつけられるのだろうか。在NYの日系旅行会社によると、現在行われている駅頭などでの接種は6月いっぱいまでは続きそうだが、夏休みとなる7・8月にも接種を継続するかどうかは「現在まで未発表」だという。

個人旅行者の動静にも詳しい日本国内の開業医は、「夏休みの渡米接種組はすでに400~500人分(渡航の)予約が入っているのでは」と推定するが、「現地で健康上のトラブルが起きたときにどう対処するのだろうか」と安易な渡航に警鐘を鳴らす。

前出のK氏は、「打たれた際の痛みはなかったが、直後から腕に重みを感じ、その後には脂汗が出てきて慌てた」。また、「翌日に高熱が出ることがわかっていたので、接種後すぐに解熱剤を飲んだ」と話す。

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