観光客もその場で接種、「駅でワクチン」NYの現状 中南米からの訪米者急増、日本からの渡航者も
しかしアメリカでは「予約なしで接種できる」と呼びかけてもなかなか定着しない。そこで考えられたのは、接種者に「お土産」を配るという手段だ。MTAが行ったキャンペーンでは、NY地下鉄の全線定期券(7日分)、もしくは郊外電車乗車券2回分の提供というおまけを付けた。また、観光客の訪問を促すとして、5月下旬には州内の空港ターミナル内でも接種パイロットプログラムを開始した。
コロナ禍によって、全世界の観光需要は前年比9割以上減少と、いわばマーケット自体が蒸発という憂き目にあっている。そんな中、NYでは「国外からの観光客にも接種する」というキャンペーンを打ち出した。
4月6日には、NYのデブラシオ市長が訪米観光客向けにもワクチンの接種を実施すると宣言。実際に、同月12日から前述のターミナル駅などで接種するパイロットプログラムが実施されている。これにより、NYほかアメリカ各地を訪れる中南米諸国からの観光客が急激に増え、旅行業界への追い風ともなっている。こうした観光客向け接種は全米20州以上で実施されている。
需要はそこまで多くない?
観光客向け接種で課題となるのがワクチンだ。日本でも使われているファイザー製、そしてモデルナ製はどちらも間隔をおいて2回の接種が必要とされており、短期滞在の観光客向けとしては現実的でない。
このため、観光客向けとして使われているのは1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製のワクチンだ。J&J製は今年2月、アメリカで承認されており、日本でも5月中旬に承認申請が行われている。
5月12日から始まった観光客向け接種だが、会場によっては開始当初の数日間は30分〜1時間待ちとなるケースもあり、盛況が伝えられていた。MTAは開始以来1
ただ、現地の接種会場の様子を撮影し、写真を提供してくれたNY在住の田子欽也氏は、「(接種は)今やNY市内のあらゆるところで行われている」としたうえで、「会場は平日の午前中だと閑散としており、観光客の姿も少ない」と指摘。明らかに需要よりも供給のほうが上回っていることを示している。
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