人手も設備も足りない日本の“豊作貧乏“

主要10分野で人手不足の現場を徹底取材

建設でも人手不足は慢性化している(写真は豊洲新市場、撮影:尾形文繁)

そもそも「ブラック企業」という言葉を生み出したのはシステムエンジニア(SE)の世界だが、ここでも「ホワイト化」が進行中だ。ITを駆使して生産性を高めることは金融、製造など業界を問わず必須のテーマとなり、システム開発の需要は右肩上がり。特に金融業界ではリーマンショック以降控えていたIT投資を再開する企業が増え、2000億~3000億円程度の大規模案件が多数進行中だ。これを受け、人材獲得合戦が熾烈化している。システム開発大手は人材獲得のため、残業時間の削減や朝型へのシフトなど勤怠管理を徹底する方向にある。

こうした状況を反映して、5月の有効求人倍率は1.09倍と、1992年以来の高さとなった。だが、正社員の有効求人倍率はまだ0.67倍に過ぎず、固定費負担の増加を嫌う企業が、非正規雇用で何とか目先の繁忙期を乗り切ろうとしていることがうかがえる。

設備の経過年数も15年超

日本経済全体を見渡すと、足りないのは人材だけではない。日本の設備の平均経過年数は15年を超えており、老朽化による生産性低下が顕著だ。デフレ下で投資を怠ったつけが、人手不足による供給力の減衰に追い打ちをかける。

足元では、円安や消費増税の影響を受けた物価上昇に、賃金の伸びが追いついておらず、実質賃金は5月まで11カ月連続でマイナスだ。いわば、日本経済は仕事は増えているものの、豊かさを実感できない“豊作貧乏“の状況にある。この状況を打破するためには、人、設備の生産性を引き上げることが必要である。日本企業には、デフレ時代のビジネスモデルを抜本的に見直すことが求められている。

週刊東洋経済7月26日号(7月22日火曜発売)の特集は「人手不足の正体」です。詳細は、同特集をご覧ください。 

 

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