異業種が続々と参入、中国「EV市場」に渦巻く野望

鴻海や百度、ファーウェイなどが参入を表明

中国では政府が環境対策車の普及を推進したことで、2014年にスタートアップが相次ぎ生まれた。その後、政策の変更や資金問題といった壁を乗り越えた数社が量産化にこぎつけ、2020年以降経営が軌道に乗りつつある。

鴻海やバイドゥは数年かけてEVへの関わり方を検討し、既に生産ラインを保有している吉利と組むことで、リスクを抑えながらEV製造に進出した。

それに対し、自動運転技術やスマートコックピットなどを通じてEV市場にはがっつり絡むが、「製造には手を出さない」と明言しているのがファーウェイだ。

同社はアメリカ政府から規制を受けた2019年5月、スマートカーの専門部署を立ち上げた。規制で主力事業の5Gとスマホを封じられ、2021年1~3月は2桁の減収となったファーウェイにとって、EVは通信機器やスマホの開発で培ったノウハウを生かしながら、規制の影響を回避できる希望の光でもある。

4月の上海モーターショーでは、北京汽車集団と「アルファS」、新興自動車メーカー金康賽力斯 (SERES)とSUV「SF5」を共同発表、ファーウェイの技術を使用した車体に入れる「Huawei inside」のロゴもお披露目した。

製造からは一貫して距離を置く

ただし同社は創業者の任正非CEOが「EV製造に参入するとデマを流した社員は追放も辞さない」と書面を出すほど、製造からは距離を置く姿勢をアピールしている。ファーウェイの判断には、5Gとスマホで力をつけすぎて排除されたトラウマも影響していると思われる。

同社はこの数年、「協調」「オープン」「透明」を訴え、独自OSも「ハーモニー(調和)OS」と名付けた。徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は4月、「自動車メーカーなどと協議し、数年間検討した」結果、製造は手がけない決定を下したと説明した。

同社のスマートカー部門で技術を統括する李暁駿CAO(Chief Architect Officer)は、日本人有識者向けの説明会で「自らブランド車を作って自動車業界と競合するより、3000万台の車に500元ずつ部品を売ったほうがいいというのが、徐会長の考え方だ」と補足している。

ちなみに、上海モーターショーでファーウェイの技術を使った新車を発表した北京汽車、SERESはいずれも中国で「2級」とされる中堅メーカーで、鴻海、バイドゥが組んだ吉利と比べると格下感が漂う。ただし、ファーウェイはこれらの車種を全国5000以上ある自社店舗で販売する予定で、ブランド力や販売網が弱いメーカーにとっては、ファーウェイのリソースを借りられる取引はかなり魅力的に映るだろう。

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