異業種が続々と参入、中国「EV市場」に渦巻く野望 鴻海や百度、ファーウェイなどが参入を表明

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バイドゥ、鴻海、ファーウェイの戦略を俯瞰すると、中国系IT企業は最終的に、自動車メーカーではなくアンドロイドのようなプラットフォーマーを目指していることもわかる。

ファーウェイの李CAOは「中国には自動車メーカーは多くあるが、部品の製造能力が足りず、乗り心地などで日本メーカーに追いつけない」と、分析した。

日本の自動車産業は完成車メーカーを頂点に、系列の部品メーカーが1次下請け、2次下請けと連なって、すり合わせによって高品質の自動車を生産してきたが、EVシフトはその閉じたピラミッド構造も根本から破壊するポテンシャルを持つ。

シャオミやファーウェイはiPhoneより後発

シャオミやファーウェイが最初のスマホを発表したのはiPhone誕生から2~3年経った2010~2011年だ。ファーウェイは新事業にスマホを加え、シャオミはスマホ生産のために設立された。

グローバルのスマホ市場におけるシェアをみると、上位5社のうち3社は中国企業が占めるが、OSをグーグルに依存していたため、アメリカ政府から規制されたファーウェイは窮地に陥った。破壊的イノベーションの潮流に乗っても、箱を作るだけでは足りない。社会のIT化、産業のモジュール化で巨大化した中国系企業はスマホの成功体験だけでなく、教訓も次の成長市場に反映させようとしている。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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