「極ZERO」参上、沸き立つ発泡酒市場 サッポロの再発売にライバル勢が一斉に追撃

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再発売にあたり、「発泡酒になっても唯一無二の商品特長がお客様に引き続きご支持いただけるものと確信している」と、自信を見せたサッポロビールの尾賀真城社長

発泡酒市場は、より税率が低い(=価格の安い)第3のビールの登場で縮小傾向にあった。02年の約2億ケースをピークに13年は5900万ケースにまで減少している。7月に発表された上半期(14年1~6月)の国内消費動向でも、プレミアムビールの人気からビールが昨年同期比100.2%と2年ぶりにプラスに転じた一方、発泡酒市場は同94.8%とビール系飲料の中で最も落ち込みが大きかった。にもかかわらず、「極ZERO」が現れた途端、各社から発泡酒の新商品発売が相次いでいる。

 待ち受ける熾烈な競争

「おいしいZERO」を発売するサントリーはこの新商品で発泡酒市場に再参入する。同社は12年に「マグナムドライ ゴールデンドライ」の生産終了後、発泡酒のラインナップがなくなっていた。その理由について、「『ザ・プレミアム・モルツ』や『金麦』といった戦略商品に注力するため」(広報部)と話す。一方、13年秋から「おいしいZERO」の開発に着手。第3のビールと発泡酒の両方で可能性を探る中、「機能性とおいしさをより追求できるのは発泡酒と判断した」という。

キリンも発泡酒での新商品発売について、「発泡酒の方が(第3のビールに比べて)製造上の自由度が高く、機能性のニーズに対応しやすかった」(広報部)と説明する。酒税法上、発泡酒は「麦芽または麦を原料の一部とした酒類」と定義されており、副原料の利用に特段の制限がない。このことが、プリン体ゼロや糖質ゼロといった機能を実現するうえで好都合だったという。

第3のビールとしての販売終了を余儀なくされた「極ZERO」を待ち受けていたのは、より厳しい環境での競争だ。「安さ」と「独自性」という翼を奪われたヒット商品は、発泡酒市場で強さを発揮できるのか。サッポロビールの底力が試されている。

(撮影:尾形文繁)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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