”安くて酔える”8%チューハイ市場で熱戦 サントリー、キリン、アサヒがしのぎを削る

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高アルコールチューハイは各社が積極的に新商品投入やリニューアルを行っている

国内酒類市場が減少傾向にある中、チューハイ市場が年間3%~5%のペースで伸び続けている。

その規模は年間の課税ベースで80万キロリットルと、ビール(550万キロリットル)、焼酎(90万キロリットル)に次いで3番目に大きい。中でも、アルコール度数8%以上の高アルコールチューハイは、近年2ケタ増の成長が続いており、チューハイ市場の3割を占めるまでに拡大した。

「ビールから安くて酔える高アルコールチューハイに需要が流入している」。サントリー酒類の山田眞二常務取締役は6月2日の販売戦略説明会で、高アルコールチューハイが好調な理由をこう説明した。

きっかけはキリン、トップはサントリー

拡大のきっかけは、チューハイの主力ブランド「氷結」を持つキリンが2008年に投入した「氷結ストロング」のヒット。その後、高アルコールチューハイ市場への参入が相次ぐようになった。

チューハイの場合、350ミリリットル当たりの酒税額は28円(一部商品を除く)。同77円のビールの半分以下と税負担が軽いことから、店頭価格を安くできる。アルコール度数はビールよりも高いが、価格はビールよりも安い。この”コストパフォーマンス”の良さが人気の要因だろう。

現在、高アルコールチューハイ市場では、サントリーの「-196℃ ストロングゼロ」が首位で約6割のシェアを持つ。今期の販売計画は前期比8%増の2250万ケース(250ミリリットル、24本換算)。最盛期の夏に向けて1割の増産体制を整えており、7月には夏期限定商品も投入する。来年に向けていっそうの設備増強も検討中だ。

他社も攻勢を強めている。キリンは「氷結ストロング」を今春にリニューアルし、今期の販売は2ケタ増の960万ケースを目指す。ほかにも、6月には甘さを抑えた「BITTERS」を投入する。アサヒビールは5月に「辛口焼酎ハイボール」を新発売し、広告宣伝費の集中投下で初年度250万ケースを計画するなど、各社とも販売拡大や新ブランドの確立に余念がない。

市場縮小が続くビールや発泡酒に代わって、高アルコールチューハイは酒類メーカーの救世主となれるのか。需要の最盛期を前に熱い戦いが始まっている。

(撮影:尾形文繁)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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